夢博士の独白



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夢を見ることの虚構の意味、夢遊病者としての孤独と不安、盗まれた車又は失われた私

 息を潜めて、恐る恐る「呼吸」を試みると、それは意外と案外なことに驚かされました。そもそも「夢」の中の「私」は、息を止めているのだろうか。息を殺してこそ、「夢」は見えてくるのかもしれない。私は大きく息を吸い込んで、「夢」との「記憶」に潜り込むことにしたのです。 
 一回目の「夢」に戻ると、あの「夢」を支える「物語」が繰り返されていました。私は「車」を盗まれたという「虚構」を見ていたのです。その「虚構」が「夢」に意味を与えているに違いない。その「虚構」を読み解かなくてはいけない。 
 私は深刻な「不眠症」に見舞われていました。「病室」にはメタリックな「風船」が浮かんでいて、新たな「風船」にヘリウムが注入されようとしている。「存在」は過剰で、「暴発」は間近でした。その時、「耳」を塞いで、「目」を閉じなくてはいけない。ところが、「私」はと言うと、眠れないのか眠らないのか、私自身の「秘密」を「医者」に知られたくないのか、黙って「病室」を抜け出して、急いで「階段」を降りていたのです。 
 ソプラノズへの「扉」を開けると、「映像」にも在った地下の「駐車場」が現われて来ました。広くもなく狭くもない「空間」には、「現代」の夢遊病者が集まっていたのです。過去の「移民」は現在の「住民」となるが、その本質的な「孤独」と「不安」には変わりはない。私は単なる夢遊病者なのだろうか、それとも自己同一性を失った「難民」なのだろうか。或いは、「車」を停めた「場所」を忘れただけなのかもしれない。 
 息を速めて、怖る怖る「呼吸」を深めると、それは意外と存外なことを招き寄せました。一息ついて一瞥すると、「私」の隣に太った「男」が泰然自若として座っている。偶然に知り合った「男」が余裕綽々として運転している。「私」はと言うと、大きな「鞄」を大事そうに抱えて、助手席で小さくなっていたのです。なぜかシートベルトは外されていました。
 その「男」はトニーと名乗って、プールに住み着いた「野鴨」が、何の前触れも無く飛び立ったことを嘆くのです。その素っ気無さが、気紛れで気晴らしだけの「人生」を象徴していると涙ぐむのです。彼の突然の「変化」は驚きをもって迎え入れられました。彼も「車」をどこかに置き忘れたのかもしれない。或いは、誰かに盗まれたのかもしれない。 
 その「女」はジェニファーと名乗って、「車」の後部座席で「足」を組んで座っていたのです。上に組まれた「右足」はとてもチャーミングで、彼女の慎重で主知主義的な「性格」を表わしていました。「心」は決して開かないが、「両足」が無意識に開いて行く、防御の「姿勢」が緩んで行く。その時、「左足」はとてもセクシーな「役割」を果たしたのです。 
 三人を乗せた「車」は螺旋状に上昇する「坂道」を登って、「屋上」を目指しました。何層にも重なる「駐車場」のどこを探しても、私の「車」を見付けることはできない。上層階に行くに従って、「車」は朽果てて忘れられた「物」へと変質する。私は「車」から降ろされました。走り去る「車」のナンバープレートは見覚えのある「番号」でした。それは、私の生れた年の「数字」でした。盗まれたのは、「私」なのかもしれない。
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by artbears | 2018-10-31 19:51 | 連白


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