夢博士の独白



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前後の扉と対象としての画家、根拠の無い憶測と言葉の真実、意味の生成と対象の解放

 それは「扉」の前に立つ「画家」のはずでした。消毒済みの「病室」は開け放たれていたとの「仮説」は成り立つ。それは「医者」なのか「患者」なのか、いや「病人」と呼ぶべきなのかもしれない。とにかく二人は病んで見えたのです。二重に視えたのです。その「背景」をもってして、その「対象」は現れて来ようとしていたのです。 
 絵描きが自らを「画家」と語り始めて、その「出自」が呼び戻されて、それまで曖昧に視えていた「対象」が一歩前進する。「背景」が一歩後退する。それは「扉」の後に立つ一人の「画家」でした。「画家」に間違いないという「言葉」が、私の「脳内」から力強く聞えて来たのです。もちろん前後の「脈絡」も無く、何の「根拠」も無い「憶測」に過ぎないのだが、それが「真実」であることの「偶然」は、いつでもどこでも起り得ることなのです。
 それは「私」が「顔」を洗おうと思い立ったからでした。「部屋」という「存在」が無性に気になり始めたのです。小さな「部屋」に入る、大きな「部屋」から出る、その逆も又然り。「世界」には無数の「部屋」が在って、私は出たり入ったりを繰り返している。「領域」を移動して、「現象」と立会う。「意味」を探索して、「他者」と出会う。「顔」を洗い変えたいという「願望」が、「画家」を「病室」の前後に立たせたのかもしれない。
 そこは「扉」が無数に在る「病院」のはずでした。「病院」の内部に「病室」が存在する。その逆は起り得ないのだろうか。私は覚え切れない「扉」を次々と開けて進みました。大きな「病室」に入る、小さな「病室」から出る、その度に、様々な「言葉」と「気配」が纏わり付いては、「私」を離さない。話せと言っては、「私」を放さない。振り返ると、「画家」の「足音」が遠くに響いていたのです。その「足音」を注意深く聴くことによって、その「対象」は視えて来るはずでした。
 私は「階段」を登らなければならない。一段三段と「奇数」を踏み外してはならない。屋上への最後の「扉」を開けると、誰かの隠れ家のような「小屋」が建ち現れました。半開きになった「扉」を明けると、何かの「象徴」のようにして、六羽の「白鳩」が飛び発ちました。「偶数」は偶然なのだろうか。それは美しい「円」を描いて、頭上で「旋回」を始めたのです。その「光景」は、まるで解き放たれた「対象」のようにも見えたのです。
 私は見上げているが、見下されているとも言える。私が視ていると「同時」に視られている「存在」とも言える。私を相対化しても、絶対的な「認識」には辿り着けない。果たして、総体としての「世界」は存在しているのだろうか。
 私は「画家」と対面しなければならない。ところが、思い切って「部屋」に入るや否や、屋上の「小屋」は消えて無くなったのです。東西南北には、同じような「病院」が建ち並び、屋上には大小の「小屋」が見えました。三人の「私」も見えました。そのうちの一人から、弾力のあるゴム状の「球体」が投げ込まれたのです。その「球体」を掴もうとするが、それは生き物のように跳ねて、別の「病院」へと移動を繰り返し始めたのです。
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by artbears | 2018-08-31 19:23 | 連白


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