夢博士の独白



一つの太陽と複数の馬と無数の私、光り輝くが存在しない世界、絵画に宿る知性と意味

 複数の「馬」が、私の「脳内」で疾走する「光景」が見えてくることがある。「脳内」に在って、入れ子細工のようにして、同形の無数の「空間」が現れてくることがある。その対象となる「領域」のなかには、もう一つの「領域」が在って、それが無限に繰り返されているのです。そして、一つひとつの「領域」のなかには、一人の「私」が居て、その「私」は決して「全体」を見渡すことはできない。そもそも「全体」は存在していない。 
 複数の「馬」の存在を感じながらも、おもむろに「接近」を試みると、一頭の「馬」としか出会えない。物憂げな「顔」、涙に溺れかけた「瞳」が、私を貫いてくる。気が付くと、私の「意識」は、別の「領域」に移動して、それは空ろに流動している。総体としての「馬」は現れてくるが、実体としての「馬」は、個々にしか存在していない。「概念」としての「馬」は、浮足立って弱々しく、空虚な「集団」にしか見えない。 
 私は「青空」を見上げました。その先の広大無辺の「宇宙」を想ったのです。その「宇宙」は、私の「脳内」にも「観念」として存在している。その「世界」のなかでは、唯一の「宇宙」も複数の「馬」も、無数の「私」さえもが、さまざまな生々流転の「現象」として表れては消えている。私の「世界」は、奇妙に明るい「無知」に包まれている。 
 「四阿」から抜け出した「私」の前途では、「世界」は向こう側から開かれて来たのです。私の歩む「道々」では、「草々」は新緑に萌え、「花々」は咲き綻び、「星々」は輝きを放ち、私は創造の「歓喜」に満たされて行くのです。傍らの「水辺」を見遣ると、初めての「白夜」のようにして、一輪の「白百合」が、外なる「光」を求めて咲いている。かくの如くして、無数の「世界」は「光」に満ち溢れ、それは眩しく、同時に視ることはできない。 
 失われた「過去」について、想いを馳せることになったのは、あの鮮烈な「光」の「記憶」が蘇ったからかもしれない。それが「夢」の外で起きたのか、「夢」の内で起きたのか、今となっては知る由も無い。「網膜」は易々と射抜かれた。そして、あのように長くて熱い「夏至」と「午後」は、もはや訪れることは無かったのです。  
 あのとき、遠くの隔たりの「光」と対峙していた「私」は、一枚の「絵画」に魅せられたのです。その「絵画」は何かを問い掛け、何かの理解を求めていたが、なによりも「知性」の「光」を宿していた。謎めいた「意味」の存在を表現していた。いつの日か、祝福されることの「歓喜」と「自由」を待っていたのです。
 あのとき、私が見ていた「事物」の大半は消滅しているに違いない。「物質」と「現象」は再び蘇って「再現」されることは無い。それらは辛うじて、夢幻の「世界」において、私の視ていた「世界」の「断片」を垣間見せてくれるに過ぎない。 
 あらゆる「記憶」が「洪水」となって、一度に押し寄せてくることがある。灼熱の「太陽」を「凝視」していると、さまざまな「幻覚」が「白壁」に映し出されてくることがある。そのとき、私の「過去」が対峙したことの「意味」が写されるのです。それは、動植物の「形象」となって、私の「夢」のなかの「個性」となって、生き永らえているのです。
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by artbears | 2018-07-31 19:39 | 連白
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