夢博士の独白



夢を見た夢9:羨望と畏怖の混ざる複雑な感情、大蛇又は一矢となって貫く死の絶対性

 「赤犬」が走り抜けるのが見えたような「気配」が残っていたのです。遠くの「帆船」が近くの「漁船」を白く塗り替えるようにして「目」の中で接近する。その力強いが、どこか卑しくさえ見える「光景」が、眼精疲労と眼内脱臼の「原因」であると、私は咳払いをして、さり気無く納得した素振りで頷いたのです。「赤犬」と「帆船」が蜃気楼のように生まれている。私の「背後」に白日夢のように浮かんでいる。振り向くと、二つの「時計」が勝手気儘に「時」を刻み、いつものように「時」を写し撮ろうとしていたのです。

 慎ましやかな「寸劇」は前触れも無く始まっていました。自分の「名前」が呼ばれることを待つ、その厳かな「瞬間」を心待ちにしていたのです。それは楽しみであり、苦しみでもあるが、例え悲しみとなっても誰を恨むことができようか。

無駄な「時間」など在ろうはずがない。私はいつか解き放たれるであろう。すると、どこかから使い古された「台詞」が聞えて来たのです。私の「名前」が呼ばれることはない。無人の観客席から「溜息」が漏れる。枯れた「大木」が倒壊する「音」が聞える。ザワザワとした「気配」を掻き分けながら進むと、やがて白っぽく変色した「空」を「背景」にして、巨大な観音菩薩の「頭部」が視えて来たのです。

 それは好奇心というよりも、「羨望」と「畏怖」の入り混じった複雑な「感情」だった気がする。圧倒的な「頭部」が向こうから近付いて来たのです。それは荘厳な「大門」の頂に在って、私を見下すかのような「視線」を放ち、その「強度」は耐え難い。引き返すという「選択肢」は無く、「大門」は潜り抜けなければいけない。ところが、「大門」へと続く「橋」の上には、巨大な「大蛇」がとぐろを巻いていたのです。その「背後」には、無数の白骨と化した「人影」がユラユラと揺れていたのです。

 私は「大蛇」の側で「車」を降りて、歩くことを選びました。「大蛇」も「車」も乗り物には違いがなかったのです。そう言えば、「車」の存在に気付いたのも、その「時」が初めてでした。「大蛇」の胴体の一部が「橋」の欄干を兼ねていました。私は恐る恐る「接近」を試みたのです。それは、淫靡で妖麗な「艶」を放っていました。私は恐る恐る「接触」を試みたのです。それは、柔肌に彫られた「刺青」のような嗜虐的で扇情的な「感触」となって、私の「脳髄」を一矢となって貫いたのです。

「夢」の中の「状況」に於いても、「存在」は絶対的な「経験」として現われる。このようにして、不条理な「経験」は稲妻の如く不意に「認識」されるが、決して「言葉」を以ってしても「定着」させることはできない。根元的な不条理性に「帰着」させるしかない。然るに「言葉」との永遠の「格闘」を続けるしかない。
 私が個別の「状況」に於いてしか、「生」を確かめられないのは仕方ないことでした。「花」が咲く「過程」は視ることはできないが、「生首」のように晒された最後の「姿」を視撮ることはできる。この絶対的な「経験」を前にして、いくばくかの「知識」が何の役に立つのだろうか。「死」は一夜となって、その「時」が「音」も無く、私に近付いてくる。

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by artbears | 2018-02-27 20:32 | 連白
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