夢博士の独白



夢を見た夢6:異邦人である私と擦れ違った私達、金髪の教師と手渡された白紙の手紙

 私は「異邦人」だったという「記憶」が付き纏わって離れない。「夢」の外側でさえ、「夢」の内側でこそ、その「追跡」は執拗を極めるのです。逃げ場は限られている。いつもの「街角」を足早で過ぎるや否や、見知らぬ「私」は振り向くが、私達は決して出会うことなく擦れ違うことを知っている。「私」を理解すること、増して「他者」を理解することよりも、その「暗闇」に溶け込むことで、私達は相互理解を深めて来たのです。
 私は「階段」を上っていた。昇っていたという「表現」が正しいのだろうか。それは、小麦色に輝く「声」でした。それは、金髪の「教師」に呼び止められたという「記憶」が浮かび上がった「瞬間」でもありました。とにかく「英語」が思い浮かばない、思い出せない。「沈黙」が誤解を生んでいく。「英語」が、私を混乱に陥れたに違いなかったのです。私から、「言葉」を奪い取った「犯人」に違いなかったのです。ところが「言葉」を失うことで、「私」が変わることで、新しい「世界」が少しずつ見えて来たのです。
 私は「階段」を降りていた。下っていたという「言葉」が正しいのだろうか。そこは、意識化できない「体感」のような「場所」でした。そこは、「言葉」では表現できない感覚的な「暗闇」でもありました。逃げる「犯人」の後姿が見える。「暗闇」に隠れようとしている。しかし、犯罪の「動機」が理解を超えたものもあるように、私が「英語」を学ぶことになった「動機」など、私達にも分かるはずがなかったのです。
 そうだ、「森」へ行こうと、考える前に「足」は動いていたのです。いつも「身体」は「思考」の前を歩いていたのです。その逆は、ろくなことがないと「記憶」が言い張るのもいつものことでした。「森」へ行けば、全ての理解を得ることができる。全ての誤解を解くことができる。何も考えなくても行けるはずでした。
 ところが忘れてはならない。「森」では、とくに「夜」に於いては、慎重な行動が求められていたのです。足先で「地面」を探り当てなければならない。手先で「暗闇」を掻き分けなければならない。それでも虚を突かれるようにして、人間や動物の「顔」が飛び出て来ることがある。それらは、直ぐに「地面」か「暗闇」に呑み込まれるのです。
 しばらくすると、月の「衣服」のようにも見える、大きな円弧状の「光輪」に包まれた「湖水」に辿り着きました。恐らく「森」は、「暁天」を迎えようとしているに違いない。遠くに「一輪」の花が視える。まるで白装束の「巫女」のようにかしずいて、「光臨」を待っている。その美しさを讃える「言葉」が想い浮かばない、想い出せない。「夢」の中の私は、この「世界」を「英語」で捉えることができなかったのです。
 階段教室に入ると、あの金髪の「教師」が演台に立っていました。教室の「窓」からは、炎上する「建物」が視えたのです。何と不謹慎なことか、「異邦人」である「私」には、その「白煙」が立ち昇る「薔薇」の薫りのように思えたのです。送別の「言葉」を考えなくてはいけない。異国の「環境」に溶け込むことを考えなくてはいけない。そんな「私」を見兼ねてのことか、隣の英国人から手渡されたのは、真っ白の「手紙」だったのです。
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by artbears | 2017-08-30 20:23 | 連白
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