夢博士の独白



表象としての水面に映る月影、回廊又は壁と水路の関係、視界に現れた裏切られた予感

 バーミリオンの「月影」が氷のようなブルーの「水面」で揺れる。それは、プールの「水面」から僅かに浮かび上がって視えたのです。ペラペラの「月影」が「水面」に貼り付いている。静寂の「歌声」が震えて映る。水の「妖精」がキラキラと舞っている。やがて一つの「月影」が壊れて、一つの「月影」が生まれる。その永遠の繰り返し、その生成流転の「表象」に、私はクラクラと「眩暈」を覚えたのです。
 どうやら、私は幻惑の「回路」に迷い込んでしまったようでした。沈黙の「燭台」が古代ローマの「回廊」に並ぶ。大理石の「円柱」は遠くまで続いているようなのだが、その先には、私の「視界」を遮るようにして、湿り気のある「濃霧」が立ち込めている。あの「月」の妖気を秘めた「光」は、いつの間にか、シャンデリアのクリスタルな「光」に変わっている。「濃霧」のカーテンを恐る恐る開くと、既視感のある驚きの「光景」が、私の「目」に焼付いたのです。
 依然として長い「回廊」は続いていました。右側には石組みの「壁」が、左側には石造りの「水路」が、私に謎解きを求めるように現れて来たのです。この左右のバランスを失った「感覚」、それが「記憶」のどこかの片隅に眠っていたのです。
 依然として暗い「回廊」は続いていました。いかにも堅牢な「壁」が、私の「耳」に触れるのが恐い。その上に彫られた「顔」が、私を誹謗中傷する「言葉」が怖い。「意識」は意味付けを急ぐのだが、「認識」までには至らない。見ていることが、必ずしも見えていることとは限らない。私の「精神」は、あくまでも冷静さを装っていたのです。
 私は「水路」に目を転じました。すると、「世界」は鮮やかに反転したのです。安堵の「感情」が、まるで滾々と湧く「泉」のようにして、私の「内部」に満ち溢れて来たのです。
 鮮烈な赤ではない。淡く優しいピンクの色調のバラの「花弁」が、ゆっくりと回転木馬のリズムに合わせて、まるでワルツを踊るような優雅さで流れて来たのです。うっとりとする甘い夢のような「香気」が漂って来たのです。
 既に先人の残した「足跡」が、私の歩むべき「方向」を示していました。そして、私が一歩一歩と「足跡」を重ねる度に、その「香気」は力強さを増幅する。やがて慣れ親しんだ匂いは未知なる匂いへと変化する。それは、あの森羅万象のエッセンスを凝縮した「美酒」の醸し出す「薫香」のようでもありました。
 花は咲き、やがて枯れゆく収穫を迎える。果実は実り、やがて死にゆく熟成を進める。大地の香りが見える。海の薫りが聞える。その「香気」に魅了され、その「薫香」に酔い痴れた私は、桃源郷が近いことを「予感」したのです。
 私は「水路」に沿って歩みを速めました。「水路」はしだいに「壁」から離別して、私を左方向に誘導している。パラパラと真紅のバラの「花弁」が落ちてくる。見上げると、生い茂るバラの大輪で造られた「門」が、私に覆い被さるようにして視えたのです。
 「時間」が刻々と過ぎている。「世界」は激変を欲望している。何が起こっても不思議ではない。不思議という「言葉」自体の輪郭が消えている。「意味」を失っている。
 私は「門」を潜り抜けたようでした。足元のネットリとした「水」の感触が、そのことを報せてくれたのです。「濃霧」が晴れる。私の「予感」は見事に裏切られる。巨大な白亜の建物の「屋上」のプールが、私の「視界」に再び現れたのです。
 プールの「水面」では、あの「月影」も「波紋」も消えて無くなっている。そして、悲しみの「旋律」が静かに響いている。苦しみの「小舟」が厳かに浮かんでいる。それは、誰かの脱ぎ捨てた「衣服」、何かの「死体」のようにも視えたのです。三匹のバーミリオン色をした「大蛇」が横たわる。その息絶えた「姿」が目の奥に現れたのです。
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# by artbears | 2014-10-31 19:50 | 連白

決壊する狂気又は洪水への恐怖、翡翠の玉座の上の純白の花束、脳内に浮かぶ二つの月

 様々な「色彩」が、私の周りをクルクルと旋回し始めたのです。それらの「色彩」が、私を取り囲む。見覚えのある「顔」となって、私を吟味する。見覚えのない「顔」となって、私を威嚇する。あの「階段」で擦れ違った「恐怖」に慄く人々の「顔」が、私の周囲を走馬灯となって回転し始めたのです。私の「意識」の前を通り過ぎたのです。
 「意識」についての「認識」が浮かび上がってくる。私はクラクラと「眩暈」を覚える。その「入口」を入ると、空っぽの白濁した「空間」がある。そこには「壁」がない。「私」もいない。曖昧な周辺部と明確な中心部からなる、まるで「概念」のような抽象的な「空間」が浮かんでいる。私自身を忘れられない「苦悩」だけが漂っている。
 「狂気」が「扉」の向こうでザワザワと騒がしい。指揮官が不在の統率の執れない「軍隊」が招集されている。「扉」は開放されるか、破壊されるかのどちらかの「運命」にある。黒いトンネルのような「鍵穴」は視えているのだが、鉄製の錆び付いた旧来の「鍵」が時代遅れであることは間違いない。「洪水」が決壊を招く前に逃げなければいけない。「歴史」が終わったとしても、この迫りくる「狂気」は決して逆流はしない。
 「座席」には、確かに白いエンベロープが置かれていました。それは、私の「記憶」のなかで咲いているホワイトリリー、エメラルド色に光る翡翠で造られた「玉座」には、美しい純白の「花束」が置かれていたのです。何という清らかな「芳香」、何という安らぎの「旋律」、私の「身体」の至るところから吹き込んでくる、その「微風」のような心地良さに満たされた私は、束の間の忘我の「時間」を過ごしたのです。
 気が付くと、「危機」はどこかに行ってしまっていました。その代償として、あの純白の「花束」もどこかに消えてしまったのです。失われた「時間」の不可逆性への「感情」が、私の「内部」で増水する。その喪失の「感情」に、私は溺れたのです。
 手掛かりは「少女」の面影を追うことでした。前方にある大画面の「映像」には、すでに変化の兆しが現れていたのです。「地平」も定かでない焼野原では、太陽の「光」が気紛れなスポットライトのように射して、名もなき「雑草」を照らし出していました。「草花」が優美に揺れ動き、小さな森の「妖精」が軽やかに乱舞する。彼らの弱々しい「光」に導かれて、私が「森林」に再び辿り着いた頃合いには、「夜」の帳が降りていたのです。
 薄墨のような「空間」が独りで「呼吸」をしている。静かに息を凝らしてベンチに「手」を触れると、そこには、「少女」の温もりが「足跡」のように残されていたのです。思わず、ポッカリと空いた「夜空」を見上げる。すると、狂ったように輝く「月」に見下される。深い井戸から目撃したような「光景」に、私は狼狽してしまったのです。
 「月」の放った「矢」に、私の「目」は射抜かれたのです。稲妻が「脳内」を走り、昇龍が「天界」を駆け上がる。閉じた「目」を開くと、煌々と輝く二つの「月」が視えました。開いた「目」を再び閉じると、一つの「月」が残されていたのです。その「脳内」に現れた唯一無二の「月」の美しさに、私の「心」は奪われたのです。
 プールの「水面」では、その「月」のバーミリオン色の「影」が浮かんでいました。それは、あの巨大な白亜の建物の「屋上」での出来事でした。もう一人の「私」には、あの「階段」を駆け上がって、この「屋上」に避難するという選択肢が残されていたのです。
 プールの「水面」では、優しい「微風」が吹き抜けて、ピンク色に染まった「波紋」が拡がろうとしていました。ピーターの七色に変化する「歌声」が聴こえてくる。プールの「水面」がブルーに変化する。哀愁を帯びた「旋律」が静かに流れる。三匹のバーミリオン色をした「大蛇」が、私の「脳内」で鎌首をもたげたのです。
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# by artbears | 2014-09-28 19:12 | 連白

イングランドの陰影と憂鬱、巨大な白亜の建物と内部に巣食う洞窟、虚偽の戦争の現実

 イングランド、その陰鬱でメランコリックな響きには、この目の奥に広がる土色に濁った「海」が似合っていると思ったのです。あれは、季節は限りなく冬に近い「秋」でした。漆黒の「夜空」には蟹座や蠍座が徘徊していて、孤独が錆び付いた「鉄橋」から見下ろすと、私の「影」が黒く鈍く光る「水面」に溶け込むように見えたのです。
 「夕闇」はとっくに落ちていました。その「夕闇」のカーテンの向こうから「足音」が近付いてくる。真っ赤なチェリーの「花弁」が予告もなく落ちる。まるで「生首」がボトンと落ちているように視える。あれは、「春」が去っていく「足音」だったのかもしれない。それらが連続した「音」となって、私の耳の奥で規則的に聞こえて来たのです。
 クリスの「足音」に間違いなかったのです。彼のエメラルド色の「目」に出会った「記憶」が蘇って来たのです。彼の先鋭なドラムの「音」が聴こえて来たのです。
 道路の両側には煉瓦造りの「建物」が並んでいて、それらは古くて暗く、「夜」のメランコリックな「気配」に満ちていました。土色に濁った「海」からの乾いた「風」が、「木立」を枯らしている。知らぬ間に、天界は煌々と「光」を放つ「月」に支配されていたのです。
 私は、私の「驚愕」をどこにも隠すことができない。巨大な「建物」が白い塊となって聳え立ってくる。私の「精神」が押し潰される。あのメランコリックな「気配」は、どこかの「路地」に追いやられたに違いない。後退りする私を、あのアパルトマンの「人影」が抱き抱える。抑揚のない「声」が、私の「背後」から、私の「返答」を待っていたのです。
 ショーウィンドウには、一枚のアルバムが飾られていました。いくつかの「洞窟」からなる不思議な「空間」が描かれていました。私は、一つの「洞窟」に「目」を奪われて、奥へ奥へと引き込まれて行ったのです。薄暗がりの中から浮かび上がる「階段」、ぼんやりと見える「通路」、それらの果てには、遠くて懐かしい「記憶」が待っているように想われたのです。性急なる「情動」が、私を突き動かし、死と背理した「誘惑」が、私を急き立てる。私はクリスを追って、全速力で「階段」を駆け上がったのです。
 逃げ惑う「群衆」とすれ違う。様々な「色彩」にペイントされた「顔」と鉢合わせになる。「色彩」だけが通り過ぎていく。私の情報処理の「能力」を超えたスピードで過ぎる。その中に、あの飛行機のモニターに映っていた「犯人」を視たという「記憶」が浮かんでは消える。「犯人」を追跡しているのか、彼から逃亡しているのか。私は、目の前の重厚な「扉」を無意識で開いていたのです。
 「部屋」に入ると、「映画」が上映されていることを告げる、もう一人の「私」が立っていました。彼が口元に立てた一本の「指」の言わんとすることを察した私は、黄土色の粘土質の「土砂」を固めて造った「階段」を慎重に降りて行ったのです。最前列の「座席」には、「少女」からの「手紙」が置かれているとも告げられていたのです。
 左右の「座席」はすでに瓦礫と化していました。それらの隙間からは、憂いを帯びた動物の「目」が覗いていたのです。それらの純粋無垢なる「目」に見詰められる。「階段」を降りようとする私を、彼らの「目」が執拗に追う。「返答」に窮する私を、問い詰める。私の「精神」は、名付けようのない茫漠とした無知無明の「地平」とつながったのです。
 「画面」には、容赦なく「爆弾」を投下している爆撃機が映されていました。地上では無音の「花火」が次々と開き、「狂気」にして完全完結なる「消費」が繰り返されていたのです。これは「映画」なのだと言う、もう一人の「私」の言い訳が空々しく聞えました。この大量殺戮の「狂気」が堰を切った「洪水」となって、この「部屋」に押し寄せてくる「光景」が、目の奥に現れたのです。
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# by artbears | 2014-08-24 16:49 | 連白

暗闇から浮び上がる記号、身体から呼び戻された記憶、懐かしの瞬間と他者からの言葉

 私の「心臓」は氷に触れているように感じたのです。黒い頭巾を被った「老女」が光の届かない「海底」から昇ってくる。そんなイメージが目の奥で再生されたのです。「老女」は「階段」を一歩上がる毎に、少しずつ白みを帯びてくる。そして全体に明るさが増してくる。それは、「暗闇」から浮び上がる神秘的な「記号」のように視えたのです。私は「老女」の「言葉」を待ちました。別の「時間」を生きた「証言」を待ったのです。
 「言葉」が「気泡」となって上がってくることに驚きは隠せなかったのですが、正直言って多少の「期待」はありました。しかし「気泡」に群がるシャークを視たときに、その「期待」は無数の「水泡」となって消えていったのです。
 ここには「暗闇」しかない。その「暗闇」に向かって、「老女」が何かを喋っている。まるで白黒の「映画」の一画面のようだ。アムステルダムの「街灯」、紅いスカーフと震える「手」、聞き取れない「言葉」、それらは、遥か遠くから「風」に乗って運ばれてくる「梵鐘」のように、重々しくて悲しい。
 私の「耳」はブルブルと震え始めました。熱いのか寒いのかが分からない。何れにしても、私の「耳」が真っ赤に腫れ上がっているように感じたのです。
 私は「水面」に顔を近付けました。強力な「引力」が、そこから離れることを許さない。「鏡面」に現れる私自身を待つしかない。すると、そこには、あのエメラルド色の「海」の照り返しで同色に染まった「空」が、どこか見覚えのある懐かしい「瞬間」として、写し取られていたのです。「風」が吹き、「少女」の藍色のスカーフが宙に舞う。突然の「真実」を視たという「感情」が忘れられなかったのです。
 それを、「必然」の出来事であったと考えることにしたのです。それは、私の過去の「記憶」が「身体」の中で生き生きと蘇った「瞬間」だったのです。「記憶」は決して「身体」から離れて存在するものではない。私の「記憶」が正しいとも限らない。他者の「記憶」との再会によって初めて、その人生における「意味」を獲得することができると思ったのです。真実の「原石」は、他者の「言葉」に秘められていたのです。
 「空港」のロビーに靴音が響いている。その「音」は、私の「記憶」の中でも反復して響いている。うな垂れる「受話器」が一本のコードで辛うじてぶら下がっている。出発か到着かの「記憶」は消されたようだ。私は配られたカードを「手」に握り締めて、とにかく「空港」から離れることにしたのです。「賽」はすでに投げられている。私は「座席」に拘束されている。不思議なことには、離陸の「恐怖」は感じられなかったのです。
 それを、「偶然」の出来事であったと考えることにしたのです。私の目の奥には、積み重ねられた「残像」のファイルが存在する。偶々、最初のページが開かれると、そこには滑空する戦闘機の「残像」が在って、次のページには浮上する潜水艦の「残像」が在った。それらが、シャークへの恐怖の「感情」によって繋ぎ合わされたのです。あの「事件」は、それ以上でもそれ以下でもなかったと、振り返って思ったのです。
 振り返ると、私の「意識」にも遠心力が働いたようでした。全く別の「光景」が脳裏に張り付いていたのです。鉛色の「曇天」が重く垂れ下がる。「海面」に白いたてがみのオオカミが走る。私の目の奥から、ロンドンの南方に位置する、今や廃墟と化したかつての「産業都市」が現れてきたのです。その背景には、あのエメラルド色の「海」は消えていたのです。
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# by artbears | 2014-07-27 13:09 | 連白

目の奥に現れた戦闘機と潜水艦、エメラルド色に光る海、水没した螺旋状の階段の秘密

 その時、アパルトマンの「上空」を金属の悲鳴のような「音」が通過したのです。見上げると、戦闘機の銀色の「胴体」が目に飛び込んだ。不気味なシャークの「腹部」が目の奥に現れた。それからキーンという「音」が垂直に落ちて来たのです。蒼い「公園」の針葉樹の「木立」は、その「音」に向かっていっせいに背伸びをする。灰色の下地の上に、紫色の刷毛の一筆が走る。急変の「曇天」を背景にして、いくつもの教会の「尖塔」が乱立して視えたのです。無音の「鐘」が左右に首を振ったのです。
 「窓」は開け放たれていました。「人影」がアパルトマンの住人となったのです。古びた煉瓦の「外壁」の上に置かれた「手」が見える。その動かない「手」を、私はしばらく「外壁」に触れたままにしたのです。そのザラザラした「感触」が、私を問い詰めたのです。とにかく終わらせたかったという「感情」が浮かんでは消える。私は、あの忌まわしい「部屋」から抜け出たことを「実感」したのです。
 「窓」は開け放たれていました。サクソフォンの「音」が流れて来たのです。ジョンの乾いた「音」でした。肉塊のトンネル、艶々した紅い「内壁」が、金属の冷たい「管」と繋がっている。黒人の「苦悩」が解き放たれる。肉体から遊離した純粋な「苦悩」が響く。再現性のある「音符」の組み合わせが、私の過去の「感情」を呼び覚ましたのです。その振動する「空気」は、私を何度も取り囲んで来たものでした。ベッドの上の日溜まりが懐かしく思われました。黒いレコード盤がクルクルと永遠に回っている。それが、目の奥に現れたのです。
 「木陰」が「木立」と対立した概念であるとの「認識」はなかったのですが、私は何かに急かされるようにして「森林」に分け入っていました。そこは、「公園」と「認識」されていた場所でした。知恵者のカラスの「眼光」が、私の背後で「翼」を拡げる。長くもなく短くもない「距離」を歩きながら、それは、「光線」と「精神」が決めることだと思ったのです。
 蒼い服だったのか、青い服だったのか、そもそも「少女」は脱衣させられていたのかもしれない。麻酔をかけられた白い象牙の「肌」が浮かんでは消える。ベンチの上には、柔らかくてしなやかな黒革の「手袋」が忘れられていました。確かに「少女」の後の証言のように、その「手袋」にはボタンが付いていなかったのです。
 私は立ち止まり、大きく息をして、再び「落葉」を踏み付けながら歩き始めたのです。一歩毎に「雨」の匂いが弾ける。「草叢」に身を隠した動物の臭いと混ざる。想定外の「獣道」との出会いは、私を左前方に誘導するかのように曲がっている。「獣道」の薄暗がりの先には、得体の知れない動物の「気配」を常に感じる。私は歩き続けたのです。やがて、前方を塞いでいた鬱蒼とした「木立」が開かれると、その向こうからは、「海」の塩気を含んだ匂いが漂って来たのです。
 私は赤い煉瓦を敷き詰めた「坂道」に出ました。その「坂道」を右手に下った先には、エメラルド色に光る「海」が広がっていたのです。その「場所」は不思議なことに、あのアパルトマンの裏側に位置していたようでした。無数の煉瓦が剥がされていることから、「坂道」が工事中であることが容易に判断できたのです。
 進入禁止のバリケードに囲まれた巨大な「穴」から覗き込むと、そこには、途方もない量の「海水」が湛えられていて、あの「部屋」へと繋がる螺旋状の「階段」が水没していたのです。そして、「階段」を昇るように回遊する不気味なシャークの「背部」が視えたのです。灰色の潜水艦が浮上する。それが、目の奥に現れたのです。
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# by artbears | 2014-06-15 16:43 | 連白

木陰とベンチに座る少女の手袋、木立と階段を上がる老女の蝋燭、人影と不安の関係性

 飛行機がゆっくりと離陸する。その「映像」が着陸する「映像」と瞬間的に置き換わる。それが、トランプを切る素早い手付きのように何回か繰り返される。裏表が逆になる。私はうんざりする。私と飛行機はすでに「雲海」の上に在ったようでした。
 コンクリートで造った土管のように見える円筒形の「機内」が揺れる。テレビモニターに映し出された「犯人」の口元の皮肉な薄笑いも揺れる。私は、まるで万華鏡の「内部」に迷い込んだような居心地の悪さを感じたのです。小窓から「外部」を一瞥すると、緑色の「木立」が後方に吹き飛んでいく。着陸の「恐怖」が、私を強張らせたのです。
 リュクサンブール公園というフランス語の心地良い「言葉」が聞こえて来ました。そこが魅力的な公園であったという「記憶」は少しも無かったのですが、その軽やかな「言葉」の響きだけが残っているのです。「太陽」は目的もなく漂う雲を追い払って、その前を、一つの孤独な「白雲」が悠々と通り過ぎていく。私の「時間」も刻々と滑るように経っていく。その「光景」が、まるで目の「表面」を触っているようでした。
 「視界」は再び緑色に覆われました。「木陰」では木漏れ陽がキラキラと舞って、ベンチに座る「少女」は静かに「手袋」のボタンを嵌めていたのです。
 パリのアパルトマンは、小窓から視えた「木立」よりも、むしろ公園の「木陰」と密通した「関係」にあったような雰囲気が感じられました。とにかく窓からの「陽光」が眩しい。緑色の「光線」が手の平に葉脈を焼き付ける。その時、通りすがりの「強風」に、窓枠がガタガタと軋む音を発てたのです。振り向くと、カーテンが無言で佇む「人影」に見えたのです。音を使った巧妙な手口で、「不安」はアパルトマンに侵入したのです。
 何としても、この「不安」から身を引き離さなければいけない。ベッドに腰掛けていた私は、足先に体重を掛けて立ち上がり、何歩か足を運びました。予想した通りに、床板はギシギシと軋む音を発てたのです。その「音」には密告の「言葉」の持つ、衝撃性と一貫性がありました。私は思わず「耳」を塞いだのです。ところが逆に、その奇妙な「耳」のブヨブヨした「感触」に度肝を抜かされたのです。
 何を置いても、私は「鍵」を掛けるべきだと思ったようでした。今から振り返ると、そのように行動していたのです。でも、その判断の「根拠」なるものは、永遠の「謎」に包まれているのです。その「矛盾」にこそ「根拠」があり、夢の「真実」が隠されているのかもしれなかったのです。
 木製の重厚な「扉」と手垢の付いた真鍮製の古びたノブが「視界」に残されていました。しかし「鍵穴」には、ステンレス製の真新しい「鍵」が内側から施錠されていたのです。その後、背後から「人影」が迫って来るのを感じ、その媚薬のような「気配」に、私は陶然としたのです。
 耳を澄ませると、階段をゆっくりと上がる「足音」が聞こえて来ました。巻貝の「内部」を想わせる螺旋状の階段には、黒い頭巾を被った「老女」の姿がくっきりと浮かび上がったのです。手に持った蝋燭の「炎」が怪しげに揺れたのです。
 私は、「人影」を真正面から見据えることを決断しました。振り向くと、窓が開け放たれて、カーテンが風に靡いていたのです。窓際に在る「脚」が異常に長いベッドには、洗い立ての木綿のシーツが敷かれていて、そこには日溜りの「痕跡」が残っていたのです。
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# by artbears | 2014-05-27 20:46 | 連白

左眼の憂鬱又は迫りくる白壁への不安、左岸に咲き誇る山桜と無意識に沈む救済の言葉

 私の「意識」は「夢」との境界を越えようとしていたのかもしれない。白夜のような「夢」の中、無意識の厚い「雲海」を通り過ぎる。どこかで着信音が鳴っている。「夢」が「現」に呑み込まれていく。親和性のある小さな「部屋」に降り立ったことが知らされる。私の「意識」のドアが開かれて、明け方の微かな「光線」が差し込んで来たのです。
 白い二枚の「壁」が左右に段違いになって、薄暗がりの「空間」に浮かび上がっているように視えたのです。それは、近くに在りながら遠くに感じる、なにか蜃気楼のようなものが立ち上がって来る「気配」でした。その表面には、朝方の「光線」を受けて白っぽくなった「壁」を背景にして、ワイングラスの「影」がぼんやりと写し出されていたのです。私の「意識」は、再び蝋細工の「手」となって、その「幻影」を掴もうとしたのです。
 「光線」は清らかで、透き通るようでした。グラスの中では、赤と白の芳醇なる「海」が揺蕩っているように視えたのです。「光線」が身体を僅かにかすめる。それを覚える。でも、私の「手」は震える「影」としては写らない。「手」が宙をつかむ。その一瞬の出来事の後にグラスは消えたのです。そして再び、「壁」は白っぽさを取り戻したのです。それは、引潮の後の「浜辺」のようでした。
 しばらく「壁」を凝視する、そして息を呑む。すると「砂浜」から滲み出る「砂絵」のようにして、「海面」から顔を覗かせる「海石」のようにして、ワイングラスの「影」は再び浮かび上がって来たのです。私の「脳」は、それを視ることを欲していたのです。それは、私にとっての至福の「時間」の象徴でもあったからでした。
 左の「壁」が右のそれよりも迫って来るように視えるのは、恐らく、私の「左眼」が遠近感の調整が上手く出来ないからに違いなかったのです。そう言えば、グラスにワインを上手く注げなかったことが思い出される。「血液」がグラスを伝う。「血糊」が紅く付着する。私の「左眼」は依然として病んでいたのです。    
 それを知ってのことなのか、左の「壁」が一段と近付いて来るのです。右の「壁」よりも大きく視える。両目の焦点が合わない。逃げ場がないという恐怖の「感情」が溢れる。その白濁した「色」、その茫洋とした「形」、それらの説明を拒絶した「存在」の不気味さが、私の「意識」を震撼させたのです。私の「左眼」はバーガンディ色の「液体」で充満して、真っ赤に染まった「海」が間近に迫って来たのです。
 私は即座に、この不可解極まりない「状況」から逃亡を計らなければならないと考えました。あの無意識の「雲海」に引き返して、この「状況」とは無縁の「言葉」を探すことにしたのです。私自身を救う「言葉」を欲したのです。「左眼」という「言葉」の呪縛から逃れたかったのです。私は再び両目を固く閉じました。
 「左岸」に咲き誇る「山桜」を視たという「記憶」は永遠に消えるものではありませんでした。無意識の「左岸」に一列になって咲く「山桜」、その両目が薄紅色に染まるほど鮮やかな様子に、私は何度も陶酔の想いに耽ったのです。「河川」は滔々と流れる。「桜花」が悠々と映る。その満開だった「山桜」も嘘のように散り終えて、「山野草」が繁茂する季節が知らぬ間に訪れるのです。「過去」に拘ることもない、「未来」を憂うこともない。あの「山桜」のように無知で無防備であってもよい。慈愛に満ちた「光線」が両目に拡がったのです。
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# by artbears | 2014-04-30 19:34 | 夢白

静謐で神秘に満ちた水面、揺れる一本の意識の樹と飛立つ小鳥達、覚醒した精神的感覚

 少しの間の忘我の「時間」は振り向いてはくれない。吹き抜ける「風」が初めて、「時」の経過を気付かせてくれたのです。私の心臓の「鼓動」はと言うと、正確なリズムを刻むまでに安定していました。それに呼応するかのようにして、「水面」は、静かに限りなく静かに「振動」を開始したのです。それは、完璧な「瞬間」が身震いしているようでした。永遠なる「時間」が天から垂直に降下して、水平に展開しているようでした。それらの「瞬間」が「波紋」となって増幅し、やがて力尽きて一輪二輪と消えて行ったのです。その「光景」はとても静謐で、謎めいた神秘に満たされていたのです。
 少しの間の忘我の「時間」は引き返してはくれない。その「尻尾」を掴むこともできない。それに、私が忘れた「我」とはいったい何者なのか、その「我」とは失われた私の「意識」なのだろうか。ならば始めから、忘却の彼方の出来事だったとの「仮説」も成り立つ。私が私を「意識」したからと言って、それが、私の「存在」を証明しているとは言えない。私の「意識」は夢現の世界に点滅する「燈明」のように危うく思われたのです。
 吹き抜ける「風」が再び、私の「身体」に触れて通過して行きました。滑るような心地良さを感じました。息が詰まるような「静寂」の中、私はいっそのこと何もかも忘れて、眠ってしまいたい「誘惑」に駆られたのです。私は「死」を身近に感じたのです。しかし、私の一部の覚醒した「意識」は、それを許してはくれない。それは精神的な「感覚」でした。そして、私の断片的ないくつかの「記憶」が、混沌とした「意識」の「水面」に映し出されたのです。全体に青いイメージの「水面」が広がり、黒い頑な「線」が何かの「形象」を生もうとしていたのです。
 一本の「意識」の「樹」が浮かんで来ました。何本かの細くて黒い「枝」が揺れている。それは、動揺した「心理」のようにも視えるし、嘲笑と失笑を抑えた「感情」のようにも取れる。一本の太くて黒い「幹」が貫いている。それは、天から下された「啓示」のようにも視えるし、本能的な「欲動」を制御する「理性」のようにも取れる。様々な過去の出来事が「形象」として現れることを欲して、それが崩れて溶けて、今度は未来の出来事を「暗示」するかのように現れる。私の「意識」が揺れる、だんだんと薄れる、引潮のように逃げる。梢に群がる小鳥達が一羽二羽と飛び立つようにして、私の「意識」は消えて行ったのです。
 私の「目」はゆっくりと開きました。忘れられた「意識」が何処かから戻って来たのです。その「意識」は、少し前には誰かが「我」と呼んでいたものでした。しかし、その「意識」は私自身を決して忘れてはいなかった。そして、私は決して独りではなかった。突然の着信音が、そのことを報せてくれたのです。
 蝋細工のような誰かの「手」の動きが止まった。その向こうには、馴染みのある「色彩」が視えた。それは黒と呼ばれる「色彩」だった。次に、私の「手」だと判断できる身体的な「感覚」が蘇って来た。「色彩」と「物質」の名称とが手を結んだ。その時、一筋の「涙」が頬を伝って流れるのを感じたのです。そして、その純粋無垢な「物質」こそが、私の「存在」を証明していると感じたのです。この身体的な「感覚」を遥かに超えた「時空」で、誰かと確かに繋がっているという精神的な「感覚」が、私の「意識」を強く揺り動かしたのです。
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# by artbears | 2014-03-30 13:04 | 夢白

死の代理人としての鮫、影の動き又は剥き出しの裸形の時間、穏やかな水面に写る精神

 私は大きく仰け反って、後方に退こうとしたのです。私は「暗礁」に乗り上げた無防備な「帆船」のような自分を思い浮かべたのです。「鮫」の大きく開いた「口」が迫る。卑猥で官能的な頭部には、焦点の定まらない「目」と陶器のような白い「歯」が視える。満たされることのない「食欲」の触手が、胃袋へと繋がる「暗闇」の奥から延びて来る。私を引き摺り込もうとする「魂胆」が視える。私は焦りました。私は再び後方に退こうとしたのです。しかし、あのプラスチックの「右腕」は、結局は何の役にも立ちませんでした。その上、動く意思のない「驢馬」のように頑迷固陋な「両脚」は、どことなく無気力で投げやりな雰囲気を漂わせていたのです。とにかく「両脚」に重い疲労感があったのです。
 私は、この永遠に余計な存在として憔悴し切った「両脚」を見続けるしかないと思ったのです。動かない、動かせない「現実」からは、例え、それが「夢」の中であっても逃れられないことを思い知らされたのです。
 「海面」からの反射は、相変わらずに眩しいものでした。その「光線」に幻惑された私は、もう少しで、あの「鏡」のトリックに騙されるところだったのです。私は、それを何とか回避したのですが、今度は、足元の水溜まりに写るもう一つの「鏡」に魅入ってしまいました。それは、私の内面を写した「鏡」だと、あの狡猾で残忍な顔付きの「鮫」は、私の傍らに擦り寄って来て、私の耳元に甘い「吐息」を吹き掛けながら囁いたのです。
 口元には、嘲笑的で冷淡な微笑みが漂っていました。しかし、どんよりと灰色に曇った「目」は、決して笑ってはいなかったのです。その「目」は真っ直ぐに私を見据えて、容赦のない眼差しが「鏡」に写っていたのです。私は固唾を呑んで、水溜まりに写る私自身と、その背後に見え隠れする「影」を追いました。目には涙が溢れて来ました。その捉えどころのない「影」の動きに、私の「精神」は苛立ち、私の「目」は疲労困憊したのです。
 「影」は小刻みな足取りで歩いている。突然、目に見えない「危険」に遭遇したかのように脅え慄き、その「場所」で立ち止まる。そして、再び我に返って歩みを開始する。前から見ても、横から見ても、後ろから見ても「影」は変わらない。しかし、その順番で必ず「変化」が繰り返されている。それは新しい「事件」でした。だからと言って、驚くようなことではなかったのです。
 私は「未来」を視ているのだろうか。それとも次に現れる「事件」を想像しているだけなのだろうか。「過去」と「現在」が溶け合って、「未来」の形成に立ち会っている。一つの「瞬間」が、それに続く次の「瞬間」を実現している。剥き出しになった裸形の「時間」が、そこに在ったのです。そして、その「影」が、いつか「視界」から消えることも「必然」の出来事だと思ったのです。あの「鮫」は、「死」の代理人に違いなかったのです。
穏やかで、密やかに波紋の拡がる「水面」を観たいと、私は心底思いました。人知れず咲いては散る「桜花」のように、心地よく山並みを吹き抜ける「涼風」のように存在することは出来ないものかと想ったのです。例え、それが一夜の儚い「夢」の中での出来事であっても、私の「精神」が癒されることを願ったのです。静かな「水面」を目で探る。「風」の動きを読む。穏やかな気持ちで待つ。昂る心臓の「鼓動」が聞こえたのです。
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# by artbears | 2014-02-28 19:42 | 夢白

一瞬の蒼い影と亡霊のような白い影、硬直する肉体と弛緩する精神、言葉を失った思考

 不意にひとつの「光景」が脳裏から離れなくなったのです。それは、無人の黒い自転車が、私の「内部」を通り抜けて行くというものでした。痛みはなく、私の「皮膚」は生きていない。それは、凍傷のような「痕跡」を残して通過して行ったのです。
 「内部」が反転して「外部」となる、というイメージが浮かんだのは、その後のことでした。ならば「外部」に、この「光景」は写し出されるのか、そもそも「内部」と「外部」の境界は存在するのか、取り留めも無い「思考」が浮かんでは消えて行きました。私は周囲を見回して、この「悪夢」から身を守る何か堅牢なものを探し求めたのですが、そのようなものは何ひとつ無かったのです。いつものように「不安」が、私を占拠したのです。
 そのことが、私をひどく苛立たせました。なぜならば、私には、このふわふわと漂う「幻想」を信じることも、振り払うことも出来なかったからなのです。ひとつの「悪夢」が消え、次の「悪夢」が現れるのを待つしかないのです。
 私は「海岸」に居たはずでした。この「記憶」もまた、実体の無い、まやかしに過ぎなかったのです。突然、目頭が小さな痙攣で震える。口元が大きな恐怖で微笑む。私は不快感を覚えました。その「幻想」がもっと弱々しくて、抽象的で、もっと控え目なものであってくれたらと願うしかなかったのです。
 正確に言うと、私は「海岸」の波打ち際に居たはずでした。その波打ち際には、麻で編まれた茶色のジャケットが打ち寄せられていたのです。太古に凝固した溶岩が熱く視え、私の「皮膚」は白く冷たい。私は降りて、それを鷲掴みにした。一瞬の蒼い「影」が動いた。拾い上げた私の「右腕」を食い千切った「鮫」は、得意満面の「表情」で頭部を何度も左右に振ったのです。紅い「鮮血」がぱっと海を染める。私は、その「光景」にぞっとする。やがて、その「鮮血」は、海の「透明」に希釈されて消えて行ったのです。
 「時間」が早送りされました。私の再生を果たした「右腕」に気付いたのは、ジャケットの袖口から黒いプラスチックの「義手」が視えて、それが器用な手つきで胸元を開いた時のことでした。「裸体」の私を覗き込む。小さな「興奮」が視える。一本の黒光りする「指」が伸びて、何かに触る仕草を見せる。硬直する「肉体」と弛緩する「精神」が合体する。そのジャケットのブランド名は「MIRROR」と読めました。確かに「鏡」は海の属性とも言えるのです。
 「時間」が再び巻き戻されました。足元でちゃぷちゃぷと打ち寄せる「波」の音がする。見下ろすと、私の「右脚」がだらりとぶら下がる。それは、何かの舞台装置のように奇妙な「物」として視える。「左脚」の足首には、小さな紅い「尾鰭」の魚が集まっている。それは、誰かの凝固血液のように鮮烈な「色」として視える。不意にひとつの「光景」が存在の「秘密」を語り始めたのです。
 我に返ると、私はコンクリートの「堤防」に腰掛けていました。すると、何かの気配がしたのです。耳元で囁く甘い「声」がしたのです。亡霊のような白い「影」が現れたのです。その「声」は、男と女はどちらがセクシーか、と私に問い掛けました。私の「思考」は「返答」を探し求めるのですが、「言葉」は海に向かって逃げるのです。
 黒い「背鰭」が真っ直ぐに近付いて来る。まるでナイフのように鋭利な「先端」が光った。
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# by artbears | 2014-01-31 20:20 | 夢白


ソフトマシーン・やわらかいきかいのひとりごとです
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