夢博士の独白



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夢を見た夢8: 遥か彼方に見える幻想と聞える音楽、糾える縄の表裏に形成された現在

 遥か彼方の過去の「夢」を想うことがある。今となって思うと、二つの「必然」が糾える「縄」のように表裏を成していたのです。二股に分かれながらも、どこかで「偶然」に撚り合わされるとの「幻想」を、我々は抱いていたのです。核戦争の「危機」さえ回避すれば、民主主義と市場経済の薔薇色の「未来」は約束されていたはずでした。
 冷たい「戦争」は終わった。ところが、新興国は台頭したが先進国は混乱している。人々の「未来」と「希望」が、人々の「絶望」と「不満」に置き換わっている。「未来」を失った人々は、もはや「現実」に耐えることはできない。あえて「不満」を抑えることはできない。「希望」を失った人々は、その「絶望」がポピュリズムを受け容れる。民主主義と資本主義の「関係」が、市場経済の「暴走」によってバランスを失っているのです。
 「夢」の中の自転車は決してバランスを失うことはない。重いペダルを踏むこともない。「景色」は向こうから遣ってきて、白い塊となった「背景」は茫洋と残されて、黒い輪郭の無い球体のような「暗闇」の中を移動する。「夢」の中の自転車は自分自身を支配して走るのです。無力で他力ではあるが、夢力で自力でも動くのです。
 水溜りに見えていたはずの「水路」を渡れば、愛しの「少女」が待っているはずでした。ところが振り返って見ると、自転車の後部座席には「少女」がすでに座って居たのです。彼女の「気配」に間違いなかった。それは、帰り道での出来事のはずでした。「時間」の連続性が断たれて、白い塊としての過去の「時間」と入れ替わっていたのです。
 遠くに見えていた「水路」が、直前になると水溜りにしか見えなくなることは、「夢」の中では往々にして起こることでした。群青色と灰褐色の混ざり合った形容し難い、つまり「鮒色」と呼ばれる「個体」が集まって蠢いている。そのヌルヌルとした「背鰭」の上を、自転車は陶然とした素振りで、当然のように渡り切ろうとしている。この「暴走」から逃れなければいけない。私はハンドルを放して、「少女」の両手を堅く握り締めたのです。そのリアルな「感触」が、「夢」に軽い浮揚感を与えたのです。
 その浅い「夢」を手繰り寄せると、前方には「水路」が視え、後方には二股に分かれた「道」が視えて来ました。それは、「夢」の中での「私」の位置関係を報せてくれるものでした。「私」と自転車は「水路」の手前に差し掛かっていたのです。もはや一方の「道」を引き返すことはできない。あえて片方の「道」を選び直すことはできない。それは、二本の「道」が糾える「縄」のようにして、「現在」を形成していたからでした。
 遥か彼方の過去の「音楽」を想うことがある。今となって思うと、私は一つの「音楽」しか聞こえなかった気がする。もう一つの「音楽」は途中で途切れて、中間部が消えて無くなっている。一つの「音楽」だけが、私の「血」となり「肉」となっている。
 「天空」が突然に真っ青に拡がり、「雲雀」が一斉にお喋りを始め、「蜜蜂」が「太陽」を目指して「狂気」となって舞い上がる。自転車の後部座席から「歌声」が聴こえて来たのです。その「歌声」が、失われたもう一つの「音楽」の中間部を奏でていたのです。
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by artbears | 2017-10-31 19:25 | 連白


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