夢博士の独白



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巨大な影のような悪意、顕現される欲望と投機される商品、美しく透明な光に宿る善意

 頼りなげに降り注ぐ「月光」を仰ぎ見上げながら、私は、その巨大な「影」のような「悪意」が、通り過ぎるのを待ちました。絹糸のように脆弱な「月光」を、その腹黒い「影」は容赦なく断ち切って、悠然と過ぎ去って行く。「息」を潜める「私」は、まるで「小魚」のように震えていたのです。
 やがて「足元」では、逆円錐状の「渦巻」が、クルクルと回転する「眩暈」のようにして現われて、それは、擂り鉢状の円形の「劇場」にも、蟻地獄のような空虚な「舞台」にも見えて来たのです。そこでは、あらゆる「商品」が滑り落ちている。あらゆる「欲望」が顕現され、喚起され、投機され、消費されている。この「渦巻」に呑み込まれてはいけない。私は踏ん張って、ありったけの「抵抗」を試みたのです。
 ところが如何せん、まるで「意志」を持った生き物のように肥大化する「渦巻」は、増々、その速度と強度を高めて行くのです。幾つかの具体的な「商品」と何らかの抽象的な「欲望」が、「私」の目の前を通り過ぎました。それらが更なる細分化と差異化を繰り返しながら、一方向に不可逆的な「渦巻」を形成していたのです。この連鎖的な「渦巻」に逆らうことはできない。しかし、この刹那的な「欲望」にしがみついてもいけない。
 このようにして、増大するエントロピーは、物理的な「時間」として生起され、認識され、交換され、消費されている。私の「自由」は、この「時間」の呪縛から逃れることに在る。私の「意識」は、まるで砂時計の一粒の「砂」のように落ちて、それと「時」を同じくして、真夜中に演じられる「悪夢」の幕は開かれたのです。
 その「場所」は、暗く陰鬱で、死臭すら漂うような「世界」でした。そして、鉄格子の内側の「暗闇」に蹲る人々は、あのゾンビ達に違いない。彼等の「存在」は暗示的で不明確でありながら、彼等の放つ「気配」は断言的で明確でした。それは、デフォルメされた「気配」ではあるが、実は、我々の日常性を攻撃して破壊するような「存在」ではない。それは、非人間的な「他者」ではなく、むしろ、人間の剥き出しの「欲望」を直接的に体現していたのです。
 困ったことには、鉄格子には「鍵」が掛かっていなかった。「扉」は、とっくの昔に開け放たれたままでした。もっと困ったことには、私自身が、この「恐怖」に慣れ親しんでいるという「事態」でした。このリアリティは、この「世界」の「現実」でもあったのです。
 この「世界」を元の円錐形に戻すしかない。その「頂点」に降臨する「他者」を探し求めるしかない。人間と人間との「関係」に内在する「超越性」を信じるしかないと想い立った私は、思い切って、堅く閉ざされた「心」の「扉」を開いたのです。
 「車窓」から視える「光景」は美しく透明感があり、正に「善意」に満ちたものでした。私の「心」には、北欧の田園風景が映し出されたのです。そして間もなく、研ぎ澄まされた「空気」が冷たく感じられる、名も知らぬ「駅」に降り立った私は、あの四方が「絶壁」に囲まれた天空の「飛行場」を目指して、運命的な「一歩」を踏み出すに違いないのです。
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by artbears | 2017-06-24 18:25 | 連白


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