夢博士の独白



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水面に映る魅惑と畏怖の感情、漆黒の暗闇からの脱出、蝋燭の炎と空に開け放たれた窓

 私の「意識」は「森林」から抜け出して、「坂道」を下り、でも、あの美しく澄んだ「湖面」のような「瞳」が忘れられなくて、何度も何度も振り返らざるを得なかったのです。それは、どことなく冷ややかで、近寄りがたく、遠くに感じるものでもありました。その美しさへの「魅惑」と厳しさへの「畏怖」、それらの相反する「感情」の「桎梏」から抜け出そうとしていたのです。
 あの時、「桎梏」は漆黒の「暗闇」となって、その「魔手」が足元に忍び寄っていた。私の「意識」は夢遊病者となって、鬱蒼とした「森林」の中を彷徨っていた。その「足跡」は消されているが、その「記憶」は身体に残されている。
 その時、木漏れ日が眩しく射して、私は薄明の「世界」に目覚めたのです。強烈な渇望感に立ち止まったのです。厳しく凍った「湖面」が観えて来ました。「水面」には無表情の「能面」が視えて来ました。存在すると思って凝視する、しかし、そこには何も無い、無明の「世界」が映っていたのです。
 この夢幻の「世界」から、何とかして抜け出さなければならない。その想いが深まれば深まるにつれて、漆黒の「暗闇」は底無しに思えたのです。ケビンの「音楽」との出会いは、そのような出口無しの「暗闇」での出来事だったのです。
 曖昧模糊な「地平」と広大無辺な「荒野」が拡がっていました。マレーシアの心地良い「微風」が吹き抜けていく。マジョルカ島の風光明媚な「島影」が観えてくる。玩具の「悦楽」とは何か、月に撃つ「弓矢」とは何か、バナナへの「偏愛」とは何か、そのどこかユーモラスで諧謔性に富み、茶目っ気たっぷりのボヘミアンが創り出す「音楽」は、荒れ果てた「原野」を実り豊かな「田園」に変えて魅せたのです。暗くて陰鬱な「世界」は、青く晴れた「空」に開かれて、いきいきと「生気」を取り戻していったのです。
 こんもりとしたなだらかな「丘」が視えて来ました。その「丘」で、一個の「小包」が手渡されることになっていた、と囁く低音の「声」が、「耳」の奥から聞えて来たのです。「小包」は時限爆弾のように開かれて、その中には、おとぎの国の小さな「城」が丁寧に包まれていました。それは、「夢」の中でしか起り得ない、摩訶不思議な「体験」のように思われたのです。そして驚くことには、二頭の雄雌の「鹿」が、私の左右に寄り添うようにして、「小包」の内部を興味深く覗き込んでいたのです。
 「城」が巨大化されたのか、「私」が相対化されたのか、それは知るすべがない。そうこうしていると、「城」への「入口」である、跳ね橋がゆっくりと下ろされたのです。その一部始終を、我々は、息を呑んで見守っていました。我々が、誰かに招き入れられていることは確かだったのです。あの低く太い「声」が再び、「水」の底から聞えて来たのです。
 螺旋状の「階段」は、まるで「天」に駆け登る「竜」となって、回転しながら「尖塔」を目指していました。蝋燭の「炎」が「階段」を照らし出している。「壁」には、「夜」の舞踏家の「影」が踊っている。夢遊病者の「軍隊」の正確無比な「靴音」が聞えてくる。やがて、独りぼっちの「私」に気付く、そして、漆黒の「暗闇」に取り囲まれていることを知る。「孤独」が「私」に追い着いて、追い越そうとしていたのです。
 「記憶」の中にある木製の「扉」は開いて、私を待っていました。私の「入室」が確かめられるや否や、ハンドルの無い「扉」は閉じられたのです。後方を振り返って、再び前方を振り向くと、「窓」は開け放たれていて、白いレースのカーテンが「風」に靡いていたのです。窓際には黒い「椅子」が在って、その上に置かれた蝋燭の「炎」が揺れていたのです。
 黒い「影」は白い「鳥」となって、「窓」から飛び立った、そのような「形跡」が残されていました。ベッドの上には、「少女」が包まっていた真新しいシーツが敷かれていて、そこには、彼女の「体温」が感じられたのです。私は、彼女が、あの漆黒の「暗闇」の「魔手」から逃れられたことを願わずにはいられなかったのです。
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by artbears | 2016-01-30 18:35 | 連白


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