夢博士の独白



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北上する牡鹿と落下する星座、脈絡を欠いた夢想又は悪夢、象徴としての芥子と十字架

 それは、甘い「夢」のように頼りなく、白い「雲」のように気紛れに、私の目の奥に現われたのです。それは、液晶の薄っぺらな「表面」とは明らかに異なる、古いブラウン管式のTVモニターの奥に在る「暗闇」に浮かんでいたのです。アンディの「冷笑」が視えては隠れる。ヴェルヴェッツの「音楽」が聴えては消える。その一見秘かで穏やかにさえ見える「光景」が急変することは、今さら驚くような「事態」では無かったのです。
 遥か彼方に「島影」が視える。そのことは、どちらかが「半島」であることを示唆してはいるが、そのことを確かめる「手段」は与えられていない。私は、何時ものようなゲームが、何時ものようなルールで始まったことを知らされたのです。
 「白雲」は千切れて、「陽光」ですら迷走している。やがて「夜」を迎えると、端然と輝く「星座」が崩れて、粉々となった「流星」が地上を目指して突入してくる、それは、目に見えていました。イメージがかくの如くして「出現」するのは、先刻承知のはずでした。「空間」は、まるで書庫に眠る「古書」のように厚みを増し、「時間」は、まるで脱兎の「心臓」のように、その「鼓動」を高めるのです。絵空事とは呼べない「事態」が迫っている、そのことが、「夢」の中で起ころうとしていたのです。
 しばらく音信の途絶えていた「友人」から、北の「方角」で待つというメールが届いたのは、確か数日前のことでした。取るものも取り敢えず、慌てて旅支度を終えた私は、何か途轍もなく大きな忘れ物をしているようで、そのことが「重荷」となって、なかなか重い腰が上がらなかったのです。それが、無為に過ごした罪悪感からきた「感情」であったことを知らされたのは、確か数日後のことでした。
 柔らかい「絹糸」で編んだカーテンを引くと、硬いガラス製の「窓」の向こうでは、相変わらずの不穏な「気象」が続いていました。何もかもが、有無を言わさずに飛ばされている。「木立」がザワザワと波打ち、「電線」がブルブルと震えている。それは、古い白黒の「無声映画」がカラカラと早回しにされているようであり、私の失われた「過去」のバラバラに切り取られた「証拠写真」が飛び散っているようにも見えたのです。
 私には、腰が軽くなるまでの「時間」は与えられていない。その「自覚」に、私の「意識」がようやく追い着いたのは、北上する鹿の「大群」が「半島」を目指して、次々と「海面」へと投身する「光景」が目に飛び込んできたからでした。このままでは、「約束」した「時刻」に間に合わない。そもそも、私は「約束」などしてはいないが、「反古」にしたという「記憶」は残っている。落下する「流星」と投身する「牡鹿」のイメージには、私を急がせる「理由」が隠されているに違いないと思ったのです。
 「海中」から見上げている黒い塊のような「影」に気付いたのは、「夢」が別の「展開」を欲望したからでした。それは、私の「悪意」なのだろうか、それとも黒いだけの「岩肌」なのだろうか、何れにしても、その「存在」が極めて不気味に思われたのです。案の定、「海面」近くでは、無数の四本の「手足」がもがいている。無数の「苦悩」が空回りをしている。無数の「労力」が水の泡となって消えている。黒い「眼球」がゴロンと動いて、私は狙われているのか、救いを求めているのか、「夢」は一向に語ろうとはしない。
 私はきっと、悪質な「風邪」に体力を奪われてしまったのです。そして、いくつかの「悪夢」に魘されながらも、この「海面」を見下ろせる「半島」に辿り着いたのだと想ったのです。「頂上」では、ヒマラヤに咲く白い「芥子」が「種子」を膨らませていました。白い「粘液」が滴り落ちて、その真っ白に染まった「絨毯」の上には、「太陽」の光線が束ねた「金髪」と張子の「赤牛」が納まった「竹籠」が置いて在ったのです。
 私の「視線」は遠方の「島影」を探し求めました。その「幻影」に向かって、鹿の「大群」が泳いでいたのです。やがて「夜」を迎えると、光り輝く「流星」が「島影」に代わるに違いない。白い十字架のような「灯台」が視えてきました。その「希望」に向かって、「小舟」が漂流していたのです。白人の「男」は明らかに被弾していて、黒人の「女」は強く「幼子」を抱きしめていたのです。
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by artbears | 2015-11-30 20:40 | 連白


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