夢博士の独白



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空間の概念性と概念の抽象性、表層の記号と深層の真実、崩壊する都市又は精神の危機

 二つの「川」が合流する。京都のどこかで、一つの「川」を形成している。その「場所」が思い出せない。その「地図」が想い描けない。それは、「記憶」のどこかに閉じ込められている。それは、重い「空気」の匂いのように漂っている。Y字型の「記号」が、私の目の奥で浮かび上がってきたのです。
 一つの「川」が逆流する。脳裏のどこかで、二つの「川」に分岐している。次々と枝分かれを繰り返す。渓流は細流となる。まるで毛細血管のように「記憶」の周りに張り巡らされていく。「時間」の連続性が断たれたのです。「空間」の概念性が生まれたのです。失われた京都の「記憶」が集まって、象徴的な「概念」となって表れてきたのです。
 夜の京都の「情景」を想い描く。しかし、記号化された「情報」と身体化された「概念」に囚われてはいけない。なぜならば、抽象的な「記号」は具体的な「事物」の表層を滑るだけで、その「事物」との真の出会いを深層に隠している。その「事物」との他の出会いを背景に退かせている。深い「夜陰」に紛れ込まなくてはいけない。暗い「迷路」に忍び込まなければいけない。
 夜の古都の「情景」を想い歩く。すると「夜陰」のなかに、妖気漂う「枝垂桜」が咲いていたのです。「迷路」のなかに、幽気漂う「五重塔」が聳え立っていたのです。無音の「足跡」と無言の「会話」が聞える。二つの「人影」が先導して「石段」を降りていたのです。一つの「満月」が背後を照らしていたのです。それらは、自らを名乗らない。それらは、知覚と思考を誘導する「記号」のようには、自らを明かさない。
 長い溜息のような「夜陰」と重い眩暈のような「迷路」は続きました。突然の脈略も無く、何かの「影」が駆け出したのです。何かの「影」が駆け込んだのです。「月光」が静かに降り注ぐなかを、一匹の「黒猫」が駆け抜けたのです。
 胸を突く濃密なる「感情」が、その「黒猫」を追い掛けました。親密であるが隔絶した「存在」でもある「黒猫」、その「目」は「満月」のように見開き、私の「視線」を跳ね返している。そして、私の「内面」を「鏡」のように映し出している。視ることは、深く考えることでも在ったのです。
 左岸から右岸なのか、左京から右京なのか、私自身の「座標軸」が定まらないままに、私は、移動する巨大な「影」の群れに呑み込まれてしまったようでした。カラフルな「色彩」が「視覚」を刺激する。ノイジーな「音響」が「聴覚」を刺激する。それが、果たして「雷光」なのか、「電光」なのかの判断もできない。「黒猫」を見失う。「月光」を見失う。あの「夜陰」と「迷路」は、人工的な光源によって「居場所」を奪われていたのです。私は、様々な「記号」で溢れ返る「都市」の住民となっていたのです。
 真夜中の「信号」が「黄」から「赤」に変わろうとしていた。その「意味」するところが瞬時に理解される。私の知覚と思考は決定されている。私の掛け替えのない「自由」は、「都市」の「機能」に委ねられていたのです。モンドリアンが想い描いた「秩序」と「構造」が、「自然」から遠く離れた「都市」の抽象的で概念的な「世界」が、私の目の奥で浮かび上がってきたのです。
 京都からロンドンなのか、東洋から西洋なのか、いずれにしても、それは、昼とも夜とも言えない、現代とも近代とも呼べない「空間」のようでした。「人影」が消えた「街角」を曲がる度に「濃霧」は一層深まり、「都市」の退廃と混沌は深まっていたのです。
 その「場所」は、「個」の自己表現と自己解放への「欲望」を、まるで癌細胞のように吸収しながら肥大化している。ジャズもロックも、その社会システムに完全に呑み込まれている。エントロピーは着実に低減している。
 遥か彼方に「老木」の風雪に耐えながら佇む「姿」が視えてきたのです。ハミルの孤独で悲痛な「歌声」が聞えてきたのです。「感情」は激流となって自己表出されている。しかし、「事物」とそれに向き合う「精神」は決して流されてはいない。聴くことは、深く考えることでも在ったのです。
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by artbears | 2015-09-30 21:13 | 連白


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