夢博士の独白



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記憶の内海と汚染された外海、閉された空間と時間への恐怖、心を開く鍵としての言葉

  「城郭」は強固な「石垣」によって形成されていた。その内側には「樹木」が繁茂していて、その外側には「内堀」が張り巡らされている。巨大な人工的構造物が、壮大な歴史的構築物が、私の目の前に現れたのです。それは、動かない大きな「動物」のようにして、私の目の奥に現れたのです。
  「外堀」はとうの昔に埋め立てられていた。その「記憶」が残っていない。その「事実」が消えている。風光明媚な「内海」と広大無辺な「外海」が急速に「関係」を深めている。個人の「死」を超越した大きな「汚染」が、確率論を前提にした見えざる「危機」が、ヒタヒタと打ち寄せる「細波」となって「護岸」を侵食している。忘れてはならない。あの「記憶」を風化させてはならない。
 私は、「護岸」から遠くを眺めることにしました。すると「海面」が垂直に立ち上がってくる。「現実」が「壁」となって立ち上がってくる。人類滅亡の「危機」が、その可能性を秘めた「原発」が、確率計算によるお墨付きを得て、「世界」の至るところで稼働している。
 黒い不気味な「原潜」が、垂直に起立する「海面」のスクリーンに映し出されたのです。分厚い「暗闇」の彼方から、無数のシャークを引き連れて現れたのです。シャークの刃物のような「尾鰭」が左右に振れる。まるで「時計」の振り子のように振れたのです。
 潜水艦はゆっくりと進水する。その「映像」が浮上する「映像」と瞬間的に置き換わる。それが、ページをめくる素早い手付きのように何回か繰り返される。前後が逆になる。私は溜息をつく。私と潜水艦はすでに「深海」の中に在ったようでした。
 ミシミシと「内壁」が悲鳴を上げている。その「音」が、私の「脳内」で反響拡大する。密室としての「空間」への恐怖の「感情」が、否応がなく増幅したのです。底無しの「海底」までの距離感が把握できない。奈落の「海底」に落ちている。どれだけの「時間」が、私に残されているのかが判らなかったのです。
 私は「救済」の願いを込めて、「外部」を観察しようとしたのです。ところが、分厚いガラス窓に映っていたのは、あの「犯人」の死人のような「顔」でした。私は今度こそ、「犯人」の正体を暴くために素早く振り返ったのです。すると、そこには、もう一人の「私」が立っている。生きる「苦悩」が立っていたのです。
 悪い「夢」を見るのは止めようと思ったのです。人の心には「鍵」がある。忘れてしまいそうな「記憶」と閉まって置きたい「感情」がある。「言葉」によって、その「扉」を開こうと考えたのです。「言語」によって、この閉塞した「部屋」から出ようと考えたのです。根源的な「空虚」を問い詰めるのは止めようと思ったのです。
 ニューヨークのホテルの「窓」からは、眼下に「公園」が見下ろせました。私がさっきまで座っていたベンチは視えるのですが、私の「痕跡」は完全に消えている。その代わりに、雨上がりの大地の「湿気」、濡れた動植物の生温かい「生気」、それらの「空気」が、私の「記憶」に留まっている。そのことを想うと、「公園」が微笑んで見えたのです。
 トランクを抱えた「旅人」が、ベンチの前を通過するのが視えました。そのトランクの中には、私の愛惜の「時間」が詰め込まれているように想えたのです。
 とにかく「旅人」である私は、この「部屋」から出ることにしました。螺旋状の「階段」が屋根裏に近い別の「部屋」に通じていることは、薄々分かっていたのです。一つの「夢」から脱出すると、もう一つの別の「夢」が始まることも、重々解かっていたのです。
 凍て付くような寒々とした「部屋」が待っていました。北方に向いた「窓」からは、純白無垢の「粉雪」が吹き込んでいたのです。「視線」が足元に移動する。「木枠」の中の透明な「液体」に気付く。たくさんの「枯葉」が沈んでいる。それは、私の「意識」に静かに堆積してきた「記憶」のように見えたのです。そして、透明の「生物」が「枯葉」に隠れて生息している。私は、この「枯葉」を取り除くことから始めようと思ったのです。
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by artbears | 2015-04-29 12:01 | 連白


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