夢博士の独白



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巨大な白亜の建物又は文明の伝説、黒く塗られた世界の現実、光に充ちた無意識の水底

 この巨大な白亜の「建物」が至るところに建てられて来たという「伝説」が、まことしやかに囁かれていたのです。囁く、いったい誰が誰に、もう一人の「私」は沈黙で答える。私の「脳内」を覗き込むと、鳥たちが慌てふためき飛び回るのが見える。散らばった羽毛を掻き集めると「伝説」という「概念」が残っている。私は独りで、人工的構造物の「屋上」に立っていたのです。
 そのとき、一陣の「北風」が吹き抜けました。言葉巧みな軽業師、「伝説」の語り部である一羽のカラスがフェンスに留まったのです。一息付いて半開きになった黒い「嘴」、その間から僧衣の裏生地のような赤い「内部」が視える。青紫の混ざった長い艶やかな「黒髪」が風に靡いている。血の滴るような赤紫の「目」が意地悪く覗いている。
 フェンスは、まるで「戦場」に張り廻らされた鉄条網のように双方向性がなく、「屋上」を「外部」から頑なに拒絶していました。コントロールできない「世界」の絶望的な「現実」が、その変わらない「本質」が痛々しく視えたのです。
 そのとき、一陣の「北風」が通り過ぎました。黒い羽毛が逆立つ。黒一色に身を固めた超合理主義者であるカラスは、冷静に「風」の行方を読み、その「翼」を力強く羽ばたかせて「空中」に舞い上がったのです。
 その「背景」には、孤独に立ち竦む数多くの白亜の「建物」が視えました。それらの内のいくつかは、既に崩壊の「過程」に在りました。乱立して視えた「教会」が傾いている。無音の「鐘」が「文明」の消失を告げている。「自然」と「文明」の荒廃が同時に進行している。無数のカラスの群れが、黒い「斑点」となって拡がり、それらがしだいに「世界」を黒く塗り潰しているように観えたのです。
 そのとき、一陣の「北風」が吹き付けました。ピンク色に染まった「波紋」が、虚ろに浮かぶ「小舟」を揺らしたのです。水平を保ったプールの「水面」が、徐々に傾く「建物」の異常を報せたのです。この永続的な「不安」が、私の「足場」を崩し始める。この逃げ場のない恐怖の「感情」が、私を「谷底」へと突き落す。私はクルクルと回転する「眩暈」の渦に巻き込まれたのです。
 チクタクと「時計」の針が進む「音」がする。ネットリとした体液のような「感触」が、私の「意識」を呼び覚ます。一昼夜にして海中に姿を消したというアトランティスの「伝説」が、消え去った幻の「文明」が、私の「記憶」の「海」に浮かび上がったのです。もう一人のピーターの「歌声」が、私の「脳内」で響き渡ったのです。「自然」が異議を申し立てる。「市民」は逃げ惑う。「都市」は檻となり、「狂気」が感染する。確かに、人は「水」の下では生きられない。
 黒い「月影」の裏側が揺れて視える。木製の「小舟」の船底が揺れて視える。私は、「水面」を反対方向から見上げているのに気付いたのです。「私」はここにいる。それは、偽りの「感覚」かもしれない。頭上に浮かぶ「小舟」は、あのバーミリオン色をした大蛇の「死体」を運ぶ「器」かもしれない。無意識の「目」が光っている。とにかく、もっと深く潜らなければいけない。
 幾本もの「光」が束になって「水底」を目指して射していました。その周りを、銀色に輝く「小魚」の群れが通り過ぎて行く。それらの「集団」の動きは、まるで気紛れな「風」のようでした。銀色の「光」の塊となって、何かの「形態」を生もうと欲していたのです。
 一つの「集団」が喜怒哀楽の「顔」となって、私に向かってくる。「歓喜」の表情が「激怒」の表情に変化して、私を通り抜けて行く。振り返ると、その「顔」は泣いていたのです。私の白い「肌」には、魚のヌルヌルしたどこかエロティックな「感触」が残っていたのです。
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by artbears | 2014-11-30 16:13 | 連白


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