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夢博士の独白



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左眼の憂鬱又は迫りくる白壁への不安、左岸に咲き誇る山桜と無意識に沈む救済の言葉

 私の「意識」は「夢」との境界を越えようとしていたのかもしれない。白夜のような「夢」の中、無意識の厚い「雲海」を通り過ぎる。どこかで着信音が鳴っている。「夢」が「現」に呑み込まれていく。親和性のある小さな「部屋」に降り立ったことが知らされる。私の「意識」のドアが開かれて、明け方の微かな「光線」が差し込んで来たのです。
 白い二枚の「壁」が左右に段違いになって、薄暗がりの「空間」に浮かび上がっているように視えたのです。それは、近くに在りながら遠くに感じる、なにか蜃気楼のようなものが立ち上がって来る「気配」でした。その表面には、朝方の「光線」を受けて白っぽくなった「壁」を背景にして、ワイングラスの「影」がぼんやりと写し出されていたのです。私の「意識」は、再び蝋細工の「手」となって、その「幻影」を掴もうとしたのです。
 「光線」は清らかで、透き通るようでした。グラスの中では、赤と白の芳醇なる「海」が揺蕩っているように視えたのです。「光線」が身体を僅かにかすめる。それを覚える。でも、私の「手」は震える「影」としては写らない。「手」が宙をつかむ。その一瞬の出来事の後にグラスは消えたのです。そして再び、「壁」は白っぽさを取り戻したのです。それは、引潮の後の「浜辺」のようでした。
 しばらく「壁」を凝視する、そして息を呑む。すると「砂浜」から滲み出る「砂絵」のようにして、「海面」から顔を覗かせる「海石」のようにして、ワイングラスの「影」は再び浮かび上がって来たのです。私の「脳」は、それを視ることを欲していたのです。それは、私にとっての至福の「時間」の象徴でもあったからでした。
 左の「壁」が右のそれよりも迫って来るように視えるのは、恐らく、私の「左眼」が遠近感の調整が上手く出来ないからに違いなかったのです。そう言えば、グラスにワインを上手く注げなかったことが思い出される。「血液」がグラスを伝う。「血糊」が紅く付着する。私の「左眼」は依然として病んでいたのです。    
 それを知ってのことなのか、左の「壁」が一段と近付いて来るのです。右の「壁」よりも大きく視える。両目の焦点が合わない。逃げ場がないという恐怖の「感情」が溢れる。その白濁した「色」、その茫洋とした「形」、それらの説明を拒絶した「存在」の不気味さが、私の「意識」を震撼させたのです。私の「左眼」はバーガンディ色の「液体」で充満して、真っ赤に染まった「海」が間近に迫って来たのです。
 私は即座に、この不可解極まりない「状況」から逃亡を計らなければならないと考えました。あの無意識の「雲海」に引き返して、この「状況」とは無縁の「言葉」を探すことにしたのです。私自身を救う「言葉」を欲したのです。「左眼」という「言葉」の呪縛から逃れたかったのです。私は再び両目を固く閉じました。
 「左岸」に咲き誇る「山桜」を視たという「記憶」は永遠に消えるものではありませんでした。無意識の「左岸」に一列になって咲く「山桜」、その両目が薄紅色に染まるほど鮮やかな様子に、私は何度も陶酔の想いに耽ったのです。「河川」は滔々と流れる。「桜花」が悠々と映る。その満開だった「山桜」も嘘のように散り終えて、「山野草」が繁茂する季節が知らぬ間に訪れるのです。「過去」に拘ることもない、「未来」を憂うこともない。あの「山桜」のように無知で無防備であってもよい。慈愛に満ちた「光線」が両目に拡がったのです。
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by artbears | 2014-04-30 19:34 | 夢白


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