夢博士の独白



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死の代理人としての鮫、影の動き又は剥き出しの裸形の時間、穏やかな水面に写る精神

 私は大きく仰け反って、後方に退こうとしたのです。私は「暗礁」に乗り上げた無防備な「帆船」のような自分を思い浮かべたのです。「鮫」の大きく開いた「口」が迫る。卑猥で官能的な頭部には、焦点の定まらない「目」と陶器のような白い「歯」が視える。満たされることのない「食欲」の触手が、胃袋へと繋がる「暗闇」の奥から延びて来る。私を引き摺り込もうとする「魂胆」が視える。私は焦りました。私は再び後方に退こうとしたのです。しかし、あのプラスチックの「右腕」は、結局は何の役にも立ちませんでした。その上、動く意思のない「驢馬」のように頑迷固陋な「両脚」は、どことなく無気力で投げやりな雰囲気を漂わせていたのです。とにかく「両脚」に重い疲労感があったのです。
 私は、この永遠に余計な存在として憔悴し切った「両脚」を見続けるしかないと思ったのです。動かない、動かせない「現実」からは、例え、それが「夢」の中であっても逃れられないことを思い知らされたのです。
 「海面」からの反射は、相変わらずに眩しいものでした。その「光線」に幻惑された私は、もう少しで、あの「鏡」のトリックに騙されるところだったのです。私は、それを何とか回避したのですが、今度は、足元の水溜まりに写るもう一つの「鏡」に魅入ってしまいました。それは、私の内面を写した「鏡」だと、あの狡猾で残忍な顔付きの「鮫」は、私の傍らに擦り寄って来て、私の耳元に甘い「吐息」を吹き掛けながら囁いたのです。
 口元には、嘲笑的で冷淡な微笑みが漂っていました。しかし、どんよりと灰色に曇った「目」は、決して笑ってはいなかったのです。その「目」は真っ直ぐに私を見据えて、容赦のない眼差しが「鏡」に写っていたのです。私は固唾を呑んで、水溜まりに写る私自身と、その背後に見え隠れする「影」を追いました。目には涙が溢れて来ました。その捉えどころのない「影」の動きに、私の「精神」は苛立ち、私の「目」は疲労困憊したのです。
 「影」は小刻みな足取りで歩いている。突然、目に見えない「危険」に遭遇したかのように脅え慄き、その「場所」で立ち止まる。そして、再び我に返って歩みを開始する。前から見ても、横から見ても、後ろから見ても「影」は変わらない。しかし、その順番で必ず「変化」が繰り返されている。それは新しい「事件」でした。だからと言って、驚くようなことではなかったのです。
 私は「未来」を視ているのだろうか。それとも次に現れる「事件」を想像しているだけなのだろうか。「過去」と「現在」が溶け合って、「未来」の形成に立ち会っている。一つの「瞬間」が、それに続く次の「瞬間」を実現している。剥き出しになった裸形の「時間」が、そこに在ったのです。そして、その「影」が、いつか「視界」から消えることも「必然」の出来事だと思ったのです。あの「鮫」は、「死」の代理人に違いなかったのです。
穏やかで、密やかに波紋の拡がる「水面」を観たいと、私は心底思いました。人知れず咲いては散る「桜花」のように、心地よく山並みを吹き抜ける「涼風」のように存在することは出来ないものかと想ったのです。例え、それが一夜の儚い「夢」の中での出来事であっても、私の「精神」が癒されることを願ったのです。静かな「水面」を目で探る。「風」の動きを読む。穏やかな気持ちで待つ。昂る心臓の「鼓動」が聞こえたのです。
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by artbears | 2014-02-28 19:42 | 夢白


ソフトマシーン・やわらかいきかいのひとりごとです
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