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夢博士の独白



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一瞬の蒼い影と亡霊のような白い影、硬直する肉体と弛緩する精神、言葉を失った思考

 不意にひとつの「光景」が脳裏から離れなくなったのです。それは、無人の黒い自転車が、私の「内部」を通り抜けて行くというものでした。痛みはなく、私の「皮膚」は生きていない。それは、凍傷のような「痕跡」を残して通過して行ったのです。
 「内部」が反転して「外部」となる、というイメージが浮かんだのは、その後のことでした。ならば「外部」に、この「光景」は写し出されるのか、そもそも「内部」と「外部」の境界は存在するのか、取り留めも無い「思考」が浮かんでは消えて行きました。私は周囲を見回して、この「悪夢」から身を守る何か堅牢なものを探し求めたのですが、そのようなものは何ひとつ無かったのです。いつものように「不安」が、私を占拠したのです。
 そのことが、私をひどく苛立たせました。なぜならば、私には、このふわふわと漂う「幻想」を信じることも、振り払うことも出来なかったからなのです。ひとつの「悪夢」が消え、次の「悪夢」が現れるのを待つしかないのです。
 私は「海岸」に居たはずでした。この「記憶」もまた、実体の無い、まやかしに過ぎなかったのです。突然、目頭が小さな痙攣で震える。口元が大きな恐怖で微笑む。私は不快感を覚えました。その「幻想」がもっと弱々しくて、抽象的で、もっと控え目なものであってくれたらと願うしかなかったのです。
 正確に言うと、私は「海岸」の波打ち際に居たはずでした。その波打ち際には、麻で編まれた茶色のジャケットが打ち寄せられていたのです。太古に凝固した溶岩が熱く視え、私の「皮膚」は白く冷たい。私は降りて、それを鷲掴みにした。一瞬の蒼い「影」が動いた。拾い上げた私の「右腕」を食い千切った「鮫」は、得意満面の「表情」で頭部を何度も左右に振ったのです。紅い「鮮血」がぱっと海を染める。私は、その「光景」にぞっとする。やがて、その「鮮血」は、海の「透明」に希釈されて消えて行ったのです。
 「時間」が早送りされました。私の再生を果たした「右腕」に気付いたのは、ジャケットの袖口から黒いプラスチックの「義手」が視えて、それが器用な手つきで胸元を開いた時のことでした。「裸体」の私を覗き込む。小さな「興奮」が視える。一本の黒光りする「指」が伸びて、何かに触る仕草を見せる。硬直する「肉体」と弛緩する「精神」が合体する。そのジャケットのブランド名は「MIRROR」と読めました。確かに「鏡」は海の属性とも言えるのです。
 「時間」が再び巻き戻されました。足元でちゃぷちゃぷと打ち寄せる「波」の音がする。見下ろすと、私の「右脚」がだらりとぶら下がる。それは、何かの舞台装置のように奇妙な「物」として視える。「左脚」の足首には、小さな紅い「尾鰭」の魚が集まっている。それは、誰かの凝固血液のように鮮烈な「色」として視える。不意にひとつの「光景」が存在の「秘密」を語り始めたのです。
 我に返ると、私はコンクリートの「堤防」に腰掛けていました。すると、何かの気配がしたのです。耳元で囁く甘い「声」がしたのです。亡霊のような白い「影」が現れたのです。その「声」は、男と女はどちらがセクシーか、と私に問い掛けました。私の「思考」は「返答」を探し求めるのですが、「言葉」は海に向かって逃げるのです。
 黒い「背鰭」が真っ直ぐに近付いて来る。まるでナイフのように鋭利な「先端」が光った。
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by artbears | 2014-01-31 20:20 | 夢白


ソフトマシーン・やわらかいきかいのひとりごとです
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