夢博士の独白



<   2013年 11月 ( 1 )   > この月の画像一覧


左眼の不安と右眼の安心、眩暈又は未知なる恐怖と快楽の感覚、内部にも存在する時間

静かだ、とても静かに「時間」が滑るように経って行こうとしている。軽い、とても軽やかに「時間」が5本の指の間から零れ落ちている。まるで「砂」のようだ。それが視える。それに触れているように感じる。不可視であり、抽象的イデア的存在であるはずの「時間」が、「砂」という視覚形態をとって、物質的秩序として現れて来ようとしている。「砂」は流れる。しかも速い。何をそんなに急ぐというのだろうか。まるで砂時計の「秒針」のようではないか。それは、私の「脳」が、そのように視えることを欲して、そのように「情報」を修正しているに違いないと、私は「夢」の中で想ったのです。それは、私の「眼」の奥での出来事のようでした。私は、私の左眼の網膜上に、果たして「世界」が正確に写し出されているのかということに、「疑惑」の念を抱くようになったのです。それほど、私の裸眼で視る「世界」は歪んで屈曲して変形が進んでいました。私の左眼は病んでいたのです。今となっては右眼だけが頼りなのです。しかし、正直なところ、どちらの「眼」が正常であるのかの「判断」は、私には下せなかったのです。なぜならば、私の「夢」の中には、「医者」と呼べる「他者」は存在しなかったからでした。地下鉄の「暗闇」を抜けて、白い階段を上がると、「青空」が飛び込んで来ました。巨大な「病院」が歪んで視えたのです。謹厳実直な「医者」の横顔、輝く光の輪、コンピューターを凝視する「視線」、銀色の十字架、曲がった直線、そこにも「砂」は押し寄せていました。私の外部の「時間」は「砂」となって、私を追い詰め、私の内部に流れ込んで「不安」を形成しているのです。一つのイメージが浮び、別のイメージへの変成を促し、それらは、私の網膜上を変遷して、エネルギーゼロの地平(死)に向かって拡散しているようでした。「不安」は連鎖して、私を拘束しているのです。そして、それらの「不安」は、光の輪や十字架といっしょになって、色鮮やかな「蛾」のように軽やかに舞いながら、ひらひらと静かに「意識」の谷底に堕ちて行きました。そして今度は、何とも言えない無重力感を伴って、様々なイメージが「意識」の谷底からゆらゆらと浮かび上がって来たのです。生温かい「風」も吹き上がって来ました。私は網膜上の「断崖」に立っていたのです。それに気付かせてくれたのは、硝子体と呼ばれる白い半透明の「物質」が、私の「顔面」に迫るのを感じたからでした。それは、あの「医者」からの「情報」が変質しているに違いないと、私は「夢」の中で想ったのです。それは、まるでゼリーのようで、とても軟らかい。ぶよぶよとした「感触」が気味悪いのです。ふっと「断崖」から見下ろすと、球面をなぞるように急角度のスロープが視えました。そして、あの「医者」の言った通りに、その硝子体と網膜との谷間には、透明のポリエチレンの切れ端のような「物質」が視えて来たのです。それは、剥がれた網膜の「断片」が硝子体に付着しているに違いなかったのです。それは、視覚形態をとって、物質的事実として現れて来たのです。私の左眼は物理的な「損傷」を患っていたのです。しかし、それを視て逆に、私の内部で肥大化した「不安」という非日常的「感情」は、日常性への回帰の契機を掴んだように思われました。私に「安心」という日常的「感情」が戻って来たのです。流砂となった「不安」は、私に圧死を強いるのではなく、この「世界」の「断崖」に立つ体験をもたらしてくれました。私は、この「断崖」に踏み止まって、あの「損傷」を除去する「決意」を固めたのです。「不安」は塊となって凝固し、明るく輝く無の「白夜」が開かれました。それは、可能性としての小さな「死」の体験でもありましたが、それは同時に、生きるという「価値」に拘束されている「私」を自覚させてくれたのです。そして、この「不安」を介しての、非日常性と日常性との「意識」の往還こそが、私の内部に「時間」の観念を生んでいるのです。にもかかわらず、私の「意識」には依然として、この小さな「死」を放置するという選択への「誘惑」が存在することを認めないわけにはいけません。その「誘惑」はなぜか甘く切ないのです。私は、この「甘い不安」のイメージの「源泉」を探し求めました。すると、小さな子供である私は、途方もなく大きな紫色の「花弁」の先端から、深く謎めいた「花唇」を覗き込んでいたのです。私はくらくらとした「眩暈」を覚ました。それは、滑り落ちる「恐怖」と「快楽」の同居した未知なる「感覚」だったのです。
d0078609_1834359.jpg

[PR]
by artbears | 2013-11-30 18:37 | 哲学


ソフトマシーン・やわらかいきかいのひとりごとです
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カテゴリ
以前の記事
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧