夢博士の独白



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暗黒の日曜日又は反転した日常、未来を描く画家と過去を走る電車、流砂と時間の大河

私の「記憶」の中では、その日が日曜日であることが忘れ去られていたのです。しかし、私が私であることに気付き、いつものように光に満ちた「公園」に差し掛かると、突然、ヒソヒソと耳打ちする誰かの「声」が聞こえたのです。それは、暗い不吉な「声」でした。その「声」がする方向を振り向くと、多くの人々がポッカリと空いた黒い「穴」に向かって歩いていたのです。彼等の「表情」は、浮き浮きとしていて、まるで春のように詩情豊かなものでした。それはきっと、この燦々と降り注ぐ「太陽」のせいに違いなかったのです。そこには、いつものように穏やかな日曜日の「公園」が存在していたのです。ところが、その洞窟の入口のような「穴」に差し掛かると、人々の「表情」は一変して、ひどく固く強張り青味を帯びたのです。それはきっと、この「穴」が「悪夢」の入口であり、私の「悪夢」の中では、暗黒の日曜日が芽生え、開花しようとしていたに違いなかったのです。「死」は不意に、このように自らを語り始めるのです。海沿いでも、川沿いでも、この「都市」の周りに立ち並ぶ「倉庫」は全て空っぽで、無数の「弾痕」が壁に残され、暗闇にポツンと残された「車両」はジッとして動かない。「怒声」と「悲鳴」が暗闇に木霊して、「倉庫」の壁と壁の間には、黒く長い暗殺者の「影」が動き始めていました。その向こうには「海面」が視え、その薄い皮膜の下では、やはり黒い「動物」が潜んでいたのです。悲惨な「雨」は、やがて冷酷な「霙」に変わり、おまけに私には「傘」が無い、いや、有っても開かない。行き場を失った私は、死人の口のように空いた「穴」に、その黒い「影」と一緒に滑り込むことにしたのです。ガタンゴトンと「音」がする。「階段」は落ちて「天井」は崩れた。「電車」が静かにホームに滑り込んで来て、その電車の「扉」は、まるで鋭利な「鋏」のような非情さで閉まりかける。私は駆け降りて乗ろうとした。そして、無理やり、開かない「傘」を閉じようとする「扉」に挟んだ。すると「傘」は先端の部分で折れて、再び「扉」は開かれたものの、今度は、私の「左腕」が挟まれ、関節の部分で切断されたのです。乗客の一人であった未来が見える「画家」は、即座に絵筆を取り、私の「左腕」の再生の「場面」を描いてくれました。それを視て、安堵した私の「心」は、私の「背後」に回った黒い「影」に、既に読まれていたのです。ヒロは片言の「英語」で、そのことを通訳した。すると、ベットリと血糊の付いた「座席」が、まるで反転した牛馬の「死体」のように、灰褐色の「大河」に浮んで幻えたのです。クルリと向きを変えて外を観ると、空が、その限りない深さと厚さが視えたのです。「電車」は知らぬ間に「バス」に変わって、坂道を上っていました。震動する窓ガラスの向こうには、一軒の「家」が、開いた窓から泥のように黄色い「内部」を見せている。2階の「外部」には、小奇麗なオープンカフェが見えている。でも、人々は居ない。黒い「影」が脱兎の如く走った。私は、何百もの窓が、その汚泥のような「内部」で通じていることを想って、恐怖心に慄いたのです。なぜならば、その黄色い「内部」は、あの全てを呑み尽くす「流砂」となって、地下鉄の坑道を埋め、この「バス」の「内部」にまで侵入して来るに違いなかったのです。私は思わず、「降車」ボタンを押しました。何かが終わるために、既に始まっていたのです。それは、恐らく再度「乗車」ボタンの押せない私の「生」でもあるのでしょうが、その「死」に向かって、ただ引き寄せられるままに押し流されていたのです。「流砂」の一粒が、それに続く一粒を導くためにのみ存在する。私は意を決して飛び降りた。そこは、乾燥し切った「砂漠」だった。独りとなって、言葉を失い、身を守る術も無い私は、ザワザワとした人々の「声」に耳を欹てたのです。それは、絶望と悲嘆の「声」でした。その「声」のする方向を振り向くと、一方通行で押し寄せる「流砂」の上流には、巨大な「砂嵐」が、「太陽」を覆い隠すかの勢いで巻き上がっていたのです。私はうつ伏せになって、「砂嵐」が過ぎ去るのを待つことにしました。時間としての「流砂」の一粒々々が、私の「顔面」にバチバチと当たり、その度に、瞬間としての「砂粒」の一時々々の「匂い」が弾け出たのです。私は私以外で在りえないことに気付き、ゆっくりと立ち上がることにしました。そして、流砂の「大河」の対岸を遠望すると、そこには、あの日曜日の「公園」が存在していて、人々が黙々と、あの黒い「穴」に向かって歩いていたのです。私はもはや、この「大河」を渡ることも引き返すことも出来なかったのです。
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by artbears | 2013-02-28 20:18 | 共白


ソフトマシーン・やわらかいきかいのひとりごとです
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