夢博士の独白



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時間又は銀時計からの歩数、空間又は地下鉄からの階段、立ち上がった床と消えた足跡

東西の往来からの「入口」を連結した構造となっている、この「通路」は同時に、南北の新幹線からの「出口」と接続することによって、人々の「時間」の管理と制御を目的として「空間」が設計されていたのです。そこでは、「秩序」が放つ無機的で無臭の空気が漂い、あの「混沌」の放つ有機物の腐臭は消えていたのです。待ち合わせ場所である「銀時計」が13時13分を刻んだ時、得体の知れない「重力」が東から西に移動して、私の頭上で停止しました。改札口では、まるで潮が満ちるように人々が溢れ、そして潮が引くように人々は離散して行ったのです。そして、「時」の波打ち際である「銀時計」の前には、春の訪れを告げる桜の蕾のように初々しい「桜貝」が、一つポツンと残っていたのです。私は、その「桜貝」を大事に左手の平で包み、「通路」の反対側にある「金時計」までの「歩数」を右手の指で数えました。3本の指が折り曲げられました。「金時計」が16時10分を刻むであろう時、私達は西から東に移動しなければならなかったのです。「時」は悲しく切ない愛惜の情を断ち切るようにカウントダウンを始めていたのです。ここに在るのは「今日」であり、それが「昨日」になる運命だけが決まっているのです。そして、残された可能性としては、「明日」を見越して、あの忘却の彼方に消え行く「過去」を見詰め直し、そして「今日」を考えることにしかないのです。不慣れな「土地」を彷徨った私達は、やがて「地下」への入口に辿り着いて居ました。「地下鉄」へと連結した構造になっている、この「階段」は同時に、目眩がするように回転しながら「過去」へと落ちて行く螺旋状の「輪」でもあったのです。大勢の人々が、「渦」に巻き込まれて「階段」を降りて行くのが視えました。人々が追い掛けるのは、いったい何なのか。この「DNA」のねじれの「輪」が目指している「先」には、いったい何が在るのか。その「先」は、「過去」であると同時に「未来」でもあるように想われたのです。「地下鉄」は音もなくホームに滑り込み、偶然と必然の選別を経た老若男女の「集合体」が、各々の「染色体」の識別番号を背に付けて乗車したのです。「地下鉄」は急速に加速して、まるで弾丸のように一直線に「目的地」に突き進みました。凄まじい衝撃が起こりました。そして扉が開き、我先にと降車した人々は、各々の「目的地」に向かって、まるで蜘蛛の子を散すように霧散して行ったのです。私達の「目的地」とされた「場所」には、巨大な「構造体」が左右に並び建っていました。左の建物は螺旋状の「階段」が透けて見える構造になっていて、それは右の建物の「DNA」を視覚的に透視していたのです。私達はねじれながら上昇する「階段」を昇りながら、建物の「骨格」の合間から見え隠れする「絵画」の幻影に驚き、思わず息を呑んだのです。なぜならば、それらは、私達の脳裏のスクリーンに映し出された偉大な絵画の「集合体」であると同時に「染色体」でもあるように視えたからでした。それは、絵画の「歴史」そのものがリアルに生きる、バーチャルな巨大な「空間」だったのです。やっとの思いで最上階に上り詰めた私達は、いささかの肉体的・精神的な疲労感に襲われました。すると周りには、ミロ、クレー、ピカソなどの「絵画」が、まるで走馬灯のように回転する「光景」が幻視されたのです。それらには、「近代社会」との物理的・心理的な紐帯感が感じ取れました。つまり、「絵画」の中心性は失われることなく、「色」も「線」も形象化作用からの自由を得ていなかったのです。私達の好奇心は、対峙する「構造体」へと渡る決断を迫りました。頼りない連結橋の「床」が、私達の「存在」を支配したのです。そして、渡り終わった安堵感が宙吊りになった状態で、流動性の塗料が一面に滴り飛散する「床」に出会ったのです。その均質に拡散する巨大な「絵画」は、その細部の多様性に目を奪われている限り、そして、その暴力性に身を委ねている限り、その全体性を明らかにはしなかったのです。この「産業社会」の高揚感と矛盾、「個」の悲哀と孤独感、来るべき終焉への予感をすら描き切った「絵画」は、「床」から立ち上がって初めて、客観視することが出来たのです。「壁画」となった「床画」は、積層され隠蔽された絵画の「DNA」も赤裸々にしました。それは、この「構造体」の「階層」に対応した膨大な情報量の「空間」だったのです。私達は残されているはずのポロックの「足跡」を探しました。しかし、それは「床」の何処を探しても無く、諦めかけて見上げた「天井」に、「未踏」のキャンバスに残っていたのです。
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by artbears | 2012-01-30 20:09 | 絵画


ソフトマシーン・やわらかいきかいのひとりごとです
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