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夢博士の独白



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両手を合わせて祈るハミル、言葉となって暴かれる感情、言霊となって解き放たれた精神

東京の金曜日から大阪の水曜日へと「時間」を逆戻りしたからこそ、彼に会えたということは、やはり彼女の置き土産に他ならなかったのです。私の夢想の「空中」においては、彼と彼女の純白の「翼」がピレネー山脈のどこか「上空」で交叉して、その「証拠」としての一枚の「羽」がヒラヒラと「下空」に舞い降りて、私の手元の一枚のチケットとなったのです。それは、近付きつつある「台風」と遠ざかりつつある「台風」との間隙を突いた緊迫と静寂の同居した「時間」に起きた出来事でもあったのです。狭い階段を駆け下りて、防音が施された鉄製の「扉」を開けると、23年前にこの「Knave」のステージに立ったと語るハミルは、33年前にあの「Marquee」のステージで視たハミルとは、恐らく別人のような「風貌」で、まるで風雪に耐え忍びながらも孤高の佇まいを魅せる「老木」のような「風情」を漂わせていたのでした。あの真っ白の衣装を身に纏い、咆哮する「獅子」を連想させた「黒髪」は、いつの間にか「銀髪」から「白髪」へと変貌を遂げ、私の推し測ることの出来ない「時間」の燃焼の「証拠」として、その端正な白いシャツに写る灰色の「影」となっていたのです。そして彼の「精神」が「言霊」となって放たれるや否や、「世界」は忽ち裏側に反転を余儀なくされ、昼とも夜とも区別の付かない寒く虚しい灰色の「世界」の幕が切って落されたのです。そう、彼の「精神」の閉ざされた牢獄での、一人芝居が始まったのです。ピアノは悲哀に酔い痴れるハミルの唯一の理解者であり、ギターは狂気に溺れ浸るハミルの無二の擁護者でもあるのです。そして、彼の「歌詞」によって定義された「世界」は、次第に、彼の「暗闇」を白日の下に曝して行くのです。ロンドンの人影の消え失せた街角を曲がると、「霧」は一層深く立ち込めていました。その「悪霊」の吐息のような「冷気」を吸い込んだ私は、目の前の茫洋とした「建物」が大洋に出現した「氷山」に視えることに戦慄し、あの「声」が私の内側から「木霊」するのを聞いたのです。「霧」に向かって歩め、その腐った「林檎」の内側にも「夜」は在ると聞こえたのです。私は、その「声」に従って、「夢」の中を進んで行きました。灰色の「世界」に輝く「星」は鈍い光を放っていました。そして、その鉛色の光が照らし出したのは、足を引き摺りながら「霧」の中を歩く、「夜」に迷い込んだ「獅子」の年老いた姿だったのです。彼は、この「光」が眩しいと苦悩に歪む表情で訴えるのです。そして、あらゆるネガティブな「感情」が、裏切、欲望、嫉妬、疑惑、悔恨などの「言葉」によって仕分けられ、彼の口からリアルな感触を持って、まるで押し寄せる感情の「波」のように発せられたのです。私は、「時間」や「空間」に過敏に、そして過剰に反応して生まれる、このデフォルメされた感情の「亡霊」を否定しながらも、私の感情の「源泉」と一であることを否定出来ない恐怖の「感情」を覚えてしまったのです。私は勇気を出して、今度は狭い階段を駆け上がって、ロンドンの「喧騒」が漏れ聞こえる木製の「扉」を開いたのです。すると、黒い帽子に見えるタクシーや赤い靴下に見えるバスの往来の背景には、悠久の「時間」を滔々と流れ続ける「大河」を見下ろすように架けられた「鉄橋」が聳え立っていたのです。そして私は、深く濃い「霧」の中で自らを見失ったのでした。その「鉄橋」の欄干で「枯木」のように佇む「私」に戻れたのは、「夢」の結末についての「予感」に驚き目覚めたからに違いありません。「季節」はもちろん、春暁の訪れない永遠の「冬」であり、「時間」はもちろん、朝焼の訪れない永遠の「夜」でした。眼下には、「月光」に照らし出された「水流」が、まるで黒い「大地」の血液のようにドロドロと流れているのが視えたのです。これら全ての「情景」が設定されたこの「空間」が、私にはとても危険な「場所」に思えてならなかったのです。なぜならば、ほんの数秒で、この永遠の「大河」の流れに合流が出来るという抗し難い「死」の誘惑に満ちていたからなのです。そして、この「空間」こそが、彼の「精神」が帰還を果す「場所」でもあったのです。つまり、彼の憂鬱で、時に錯乱的で破滅的でもある精神の「風土」に想えてならなかったのです。私はもう一度、眼下を見下ろして観ました。するとそこには、若きハミルのステージ衣装のように視える白い「影」が、ユラユラと踊るように揺れていたのです。しかし、この白い「影」が彼女の「羽衣」のようにも視えることに気付いた私は、私の「精神」が「生」に向かって着実な一歩を踏み出していることを感じ取ることが出来たのです。
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by artbears | 2011-10-29 16:48 | 音楽


ソフトマシーン・やわらかいきかいのひとりごとです
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