夢博士の独白



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谷間に移動した暗雲、台風から黒うさぎへ蜘蛛へと移動した目、眼下に視えるTVと花園

ああっ、やっぱり引き返すべきだったという後悔の念が、私を襲ったのです。この足元のリアルな「絶壁」と遥か彼方に視える蜃気楼のような「対壁」との間には、途方も無い空間的な「距離」が存在していると思われたのです。気の遠くなるような歳月の堆積が織り成すストライプ状の「地層」には、幾度かの「変革」の時代を経ながらも変わらぬ、この国の拠って立つどうしようもない「構造」が描かれているように視えたのです。あちらに渡っても同じであろう、その他人事のような諦観の念が、私達が共有する「空気」として漂っていたのは、確かなことでした。そして、仮に「対壁」へと渡るならば、途方も無い時間的な「距離」が存在していると思われたのです。私はいつものように、この「絶壁」のエッジまで歩み寄り、この「絶望」のナイフを心に突き刺して、成す術もなく引き返すことを繰り返していたのです。しかし今夜に限って、このエッジの周辺に放置された「TV」からは、アナログ放送の終了を告知する「音声」が断末魔のように鳴り響き、デジタル合成された「台風」の「画像」が、クルクルと渦巻きながらモクモクと巨大化する「雨雲」となって、画面から溢れ出していたのです。エッジに起立する無数の「TV」は、大型の表示機器に成り下がった「運命」を怨んでか、気の遠くなるような深い「谷底」を目指して、次々と身を投げ入れていたのです。「放送」は、「ネット」という新しい技術による外部侵略を受けて、「システム」としての消失の危機に瀕しているのです。「時間」は、「空間」がそうであったように、デジタル技術による解体と再編成という情報化の「過程」に入っているのです。社会の「底流」での根本的な「変革」が進行しているのです。と、「夢」の中のもう一人の私が預言者の如くつぶやきました。ああっ、やっぱり抜け出すべきだったという悔恨の念が、私を襲ったのです。しかし時はすでに遅かったのです。私の「脳内」で発生した「台風」の巨大な「目」は、私の様々な「妄想」を左巻きの「渦」に巻き込み、私の様々な「器官」から流出させながら、右方向への「進路」を取り始めたのです。そして、その増大する「妄想」の「暗雲」は、「TV」から吐き出された「雨雲」と一体となって合流し、この「谷間」を埋め尽くすことになったのです。そのデジタルとアナログの混然一体となった「大海原」を前にして、私が躊躇することなく最初の「一歩」を踏み出せたのは、「絶望」から与えられた勇気と大胆さがあったからに違いありません。つまり、この国の「どん底」を知るも良しとしたのです。ところが、私が意外に思ったことは、その足元のリアルな「感触」が、何ら日常の「不安」と本質的に異ならない不安定で底無しの恐怖感を「土台」にしているということでした。ただ、想像を超える「夢想」ならでは出来事としては、そこには、長いフサフサとした毛並みの「黒うさぎ」が生息していたということなのです。しかも彼等は、飛び跳ねることにリスクが生じる「環境」で進化したこともあってか、直立歩行を「日常」としているように思われたのです。しかし何と言っても、彼等の巨大さには驚かされてしまいました。それに、彼等がそもそも肉食系であるのか、それとも草食系であるのかといったことも、私の「脳内」で肥大化する新たな「暗雲」として急速に浮かび上がっていたのです。彼等の「目」は真っ赤に充血していました。私は私の「不安」を外在化するのですが、その外在化された得体の知れない「怪物」は、今後は私を「不安」のループへと引き込むのです。私は思わず、「希望」の象徴である「青空」を見上げました。するとそこには、「蜘蛛」の形を模して造られたロボットが、8本の足で「青空」を覆うように立っていたのです。そして、その足の付け根の部分には、モニターの役割を果す「TV」が、まるで世界を観察する「目」のように取り付けられていたのです。時刻は真夜中の3時を過ぎた頃だったでしょうか。私は、傍らに置かれたリモコンを見付けて、なぜか「奇跡」が起きることを確信してスイッチを入れたのです。すると、ヴォーンという機械音とともに鮮やかな「映像」が立ち上がり、そこには、「台風」の接近による暴風雨の中にあっても、明るく健気に逞しく、逆境に立ち向かう「なでしこ」の姿が映し出されていたのです。私は思わず、「絶望」の象徴であった「谷底」を見下ろしました。するとそこには、廃棄処分されたはずの無数の「TV」が整然と設置されていて、それらの画面にも、野草の「花園」が一面に広がっていたのです。そこには、「希望」から与えられる勇気と大胆さが咲き誇って視えたのです。
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by artbears | 2011-07-28 20:33 | 社会


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