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夢博士の独白



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稲妻が光ったとの錯覚、豪雨又は黒犬に追われることの幻覚、壊れた世界を拒む青き人々

地下鉄が地上に出るや否や、バケツをひっくり返したような「豪雨」が、まるで鋼鉄の「鋲」が車両の上部に撃ち込まれるように降って来たのです。車窓から垣間見た「夜影」に、一瞬の稲妻が走ったかのような「錯覚」を覚えたのは、その「瞬間」が取り返しの付かない「過去」の出来事となり、もはや永遠に再現の出来ない「世界」に移行してしまったと気付いたからなのです。「過去」は一瞬で消えて無くなり、新たな「現在」が次々と消費されて行くのです。しかし、電気の消えたビルの何処かの窓ガラスには、稲妻の「光跡」がアリバイとして残っていないとは、誰もが言い切ることは出来なかったのです。ならば、ビデオテープを逆戻しするようにして、この「電車」を逆走させることにより、私達は「過去」を検証しながら生きるという「知覚」を発達させることが可能だったのかもしれないと想ったのです。私達の知覚システムは、あまりに蓄積された「文化」に負うところが大きいと思ったのです。こうして私の「意識」は、いつものように「想像」の翼を自由に羽ばたかせて、物理的な制約の無い「軌道」を走る「電車」へと飛び移ったのでした。車両の電源は一度落ちて、車内には再び「光源」が呼び戻されました。愛しの青き人々は、何も描かれていない7枚の「絵画」を、恥ずかしそうにして差し出したのです。車両の上部からは、あの謎めいた「黒犬」たちの「足音」が聞こえて来ました。「豪雨」は「黒犬」となって、執拗な追跡を諦めることはなかったのです。たくさんの白い手が、これらの「絵画」を鷲掴みにしようと伸びて来ました。緊迫した「状況」は、本能的な「選択」を求めていたのです。私は、最後に残った「絵画」を選ぶべきかとの戸惑いもありましたが、青い滲みの「色跡」が限りなく美しい一枚の「絵画」を選んだのです。それが「幻覚」であったとは、誰もが異議申し立ての出来ないプライベートな出来事だったのです。すると、脱力した白い手は、掴み取った全ての「絵画」を一斉に床に落としたのです。そして、白紙であったはずの「絵画」には、あの憎々しい「黒犬」の「足跡」がプリントされていたのです。「意味」の連鎖が断たれていることは明らかでした。そもそも、私にとっての「問題」とは、あの青き人々が何処に消えてしまったかにあったはずなのです。そして、この「電車」が既に制御能力を失い、規律無き「暴走」を開始していることは間違いなかったのです。私は秘かに、例え次の「駅」が見知らぬ「場所」であろうとも、青き人々を探し求めるべきであるとの「決断」を下していたのです。電車の扉が開くや否や、私は速やかに、ホームに転がり込むようにして「脱出」を敢行しました。節電のためなのか、エスカレーターは停止した「状態」にあったのですが、それが故障のためであったかの「判断」は難しいものでした。なぜならば、この「駅」全体が「廃墟」と化しているようにも見受けられたからなのです。そして、私がもう一台のエスカレーターを徒歩で降りようとした時、私の知覚システムが報せたのは、この「駅」が、かつての愛しの青き人々との思い出の「場所」であったと言うことだったのです。外に出ると、バケツをひっくり返したような「豪雨」は、やはり降り続けていました。「黒犬」は「豪雨」となって、執拗な追跡を諦めることはなかったのです。傘も無い、光も無い、車も無い、まさに「荒漠」としたアナーキーな「世界」が待ち受けていたのです。そして、この「場所」が既に統治能力を失い、秩序無き「崩壊」を開始していることは間違いなかったのです。7枚のレコードジャケットが私の脳裏に浮かび上がったのは、ちょうどそのような「状況」の中でのことでした。私は「豪雨」に対する恐怖の「感覚」をすら脱ぎ捨てて、あの「音楽」の館を目指してひたすら走ることにしたのです。そして、レンガ造りのビルの鋼鉄製のドアの横に在る「飾り窓」には、7枚の「音楽」が7枚の「絵画」と一体となった「芸術」として残っていたのです。私達は、ドアを恐る恐る開けて見ました。すると、あの「時代」の懐かしの「音楽」が、私達を優しく迎えてくれたのです。真空管式のアンプと英国製のスピーカーが奏でる「音楽」で溢れた「空間」は、まさに現代の「桃源郷」と呼ぶに相応しいものでした。そして、ディランの「知性」やアイラーの「聖性」、そしてコルトレーンの「信仰心」にすらも、私達の「精神」に真摯に語りかける「真実」が存在すると信じられた「時代」が蘇って来たのです。そっと、胸ポケットに忍ばせた「絵画」を取り出した私は、そこに、あの愛しの青き人々の屈託のない「表情」を確認することが出来たのでした。
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by artbears | 2011-06-29 21:17 | 社会


ソフトマシーン・やわらかいきかいのひとりごとです
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