夢博士の独白



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垂直運動と水平運動を繰返したエレベーター、鏡面構造にあった街路と古い都市への記憶

恐らく、調質が施された7000系合金であるジェラルミン製のPCを貼り合せた壁面から成る高層ビルの入口を入ると、今度は、やはりジェラルミン製のFDと思われるエレベーターが、ドアを開いて待ち受けていたのです。ドアは、このシンメトリカルなビルの中央に位置していました。そして、このアルミニウムを基本合金とする自然界には存在しない物質の人工的な素材感に気を奪われていた私たちは、白いヴェールで表情がよく観察できない「修道女」の一団と一緒になって、この狭くて息苦しさに満ちた超合金製の「BOX」に押し込められたのです。エレベーターはゆっくりと上昇を開始したようで、その動きに合わせるようにして、「修道女」たちの豊満な胸に隠されていた銀製の「十字架」は天を目指して浮び上がったのです。やがて、「BOX」は高層ビルの最上階に達したのでしょうか、空中に浮遊していた「十字架」は消えて無くなりました。すると今度は、「BOX」が左右の水平運動をすることを告げるかのように、開閉パネルに組み込まれた「十字架」は右腕の「LED」を光らせたのです。そして、逆「L字」型の軌道を移動しながら高層ビルの反対側の角に達した「BOX」は、今度は直角に折れ曲がるようにして方向を変えて、再び反対側の角までの水平運動を開始したのです。もう一度、直角に折れ曲がろうとした時には、少なくとも私の方向感覚は壊滅的な打撃を受けていました。そして私たちは、その状態で、「ストーン」と急激に落下する「BOX」と一体となったのです。この天上の「神」と地上の「信者」を結び付けるような上下の垂直運動の局面においても、やはり「十字架」は「修道女」たちを忌み嫌うようにして肉体から遊離して、天を目指して浮び上がったのです。少なくとも私にとっての「十字架」は、死の克服の象徴と言うよりも、「欠如」を、そして、その「欠如」を埋め合わせようとする「欲望」の象徴で在り続けたのです。私たちの「BOX」が地上に着地した場所は、あの高層ビルの「入口」から真反対の位置に在る「出口」のように想われました。と言うのは、「此処」から観える光景は、「彼処」から観えた光景の左右が反対の「鏡面」に写った「世界」のように視えたからなのです。「入口」から見て右に視えたはずの建物は、「出口」から見て左に視えるからなのです。しかし、街路を背景にした道路は舗装が十分な状態ではないし、街路樹もまだまだこれからの生育が待たれる状態のようにも見えるのでした。そして何よりも、私の愛聴したLP(アナログ)の音源がCD(デジタル)の登場を待たずして、街角の隅々から聴こえて来るような、そんな雰囲気が街路に溢れていたのです。この「世界」の成立ちに気付くには、暫らくの時間が必要でした。それは、私が左右が逆であると語っていることは、物理的な平行移動や回転移動を経てのことではなく、実は、私自身が「過去」に意識の主体を移動させているからに違いないと想うようになったからなのです。つまり、人間の知覚システムでは「実感」できない、4次元とも言える未知なる空間移動を経ての「出来事」なのではないかと「直感」したのです。その時の事でした。私の「仮説」を証明するかのように、私たちの頭上には、ジェラルミン製の銀色に輝く巨大な飛行船・「ZEPPELIN」が出現したのです。その圧倒的な巨体は、道路と街路樹を「あっ」と言う間に薄暗がりの路地に変え、あの時代(1969年)のあの場所(London)の憂鬱で、しかし生の享楽と死の誘惑が充満した「世界」の影で覆い尽くしたのです。秩序の体現者たちは、苛立ち眉をひそめ、社会システムとの境界線を傍若無人の振る舞いで突破する、これら若き「侵入者」に戦慄の想いを抱いたに違いありません。そして、彼らを、スケープゴートに祀り上げようと秘策を練ったに違いありません。しかし、この「鏡面」に写る私こそが、これら社会に属しながら属さない両義的「侵入者」の放つ横溢する「エロチシズム」に魅了された「信者」であったことを告白しなければいけません。そして、あの「鏡面」に写された私こそが、彼らの「絶頂」からの衰退と堕落と劣化の「目撃者」でもあったのです。私は、この象徴的「欠如」を埋め合わせる「対象」を探し求めて、道路と街路樹を越え、古い都市への記憶に侵入を試みたのです。数多くの古い低層ビルが建ち並ぶ都市の街路を歩くにつれて、私は私たちとなり、さまざまな都市の記憶は混ざり合い、最後には5つの都市の個性豊かな「芳香」の中に、「欠如」に向けられた「欲望」が静かに満たされていくことを「実感」したのです。
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by artbears | 2010-03-30 19:46 | 音楽


ソフトマシーン・やわらかいきかいのひとりごとです
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