夢博士の独白



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イエローブロガーと呼ばれる戦車兵は最後の仮面を脱ぎ、誇り高き山猫の素顔を見せた

このタイガーⅡ型と思われる重戦車が「赤虎」と呼ばれるのは、その燃えるように赤くペイントされたボディが風雪に耐えることにより、赤茶けた錆からできた「瘡蓋」がしだいに拡がり、燃え盛る「業火」のような模様となって全体を覆っているからに違いないと思ったのです。「赤虎」の砲台には、双眼鏡を持った戦車兵が上半身だけを出して、前方の水平線と後方の地平線を交互に観察している様子が見て取れたのです。地平線の彼方には、水分を多く含んだ雲がゆっくりと移動していることが判り、その下には、生命の楽園である深い「森林」が拡がっていることが想像できたのです。と同時に、豊かな「森林」は度重なる「砂漠」からの攻撃に領土を失い、その「砂漠」の悪魔の手は、この海と陸の境界に位置する「水際」の地にまで達していることが分かりました。そして水平線の彼方にも、あたかも同じような生命の「楽園」が存在するかのように、緑色の蜃気楼はゆらゆらと揺れていたのです。「赤虎」は、モウモウとした不完全燃焼の凄まじい黒煙をたてながら、このグローバルな地球環境の変化と加速度的に激しくなるストレスとの「戦争」から逃れようと、最後に残された聖域と想われる「森海」を目指していたのです。だからこそ、「赤虎」は躊躇することなく、未体験の海の「領域」へと突入して行ったのだと論理的に考えられたのです。しかしそのことが、水陸両用を、その設計思想として持ち合わせていなかった「赤虎」の第二の受難を招き、その「悲劇」は、まさにこの時に始まったと言えるのです。幸い、気密性は保たれていたのですが、分厚い装甲鉄板で身を固めた文字通りの鉄の塊である「赤虎」は、まるで赤い「イカロス」のように、真っ逆さまになって暗黒の「深海」へと墜落して行ったのです。深い孤独感に満ちた、シンシンとした無音の世界が、「赤虎」を一つのちっぽけな「アトム」として呑み込んでいったのです。メンバーは5人でした。彼らは、さまざまな「DNA」のメッセンジャーである生物から構成されていました。「赤虎」の内部では、この新しい「現実」に対する緊急の会議が開かれることになったのです。そこで生まれたルールとは、地上の世界においても誰しも自分のなかに複数の人格を持っていたように、時には一人が複数の人格に分裂したり、時には数人が単一の人格を合成したりしながら、生命的で親密なコミュニケーションを図っていこうというものでした。そのために、数多くの「仮面」が用意されることになったのです。つまり、この窮屈極まりない「空間」に適応するためには、それぞれのメンバーがそれぞれのDNAの「欲望」に従って行動した場合、止め処もない「悪意」の噴出する事態も想定されるとし、主体的に行動した場合の責任は「個人」には無く、「仮面」にあるとしたのです。このことは、ある意味での近代の個人主義の否定でもありましたが、連綿と続いて来た生命の歴史から見たならば、さほど異例のことでは無いという「認識」がメンバーのなかで共有されたのです。その時突然、操縦席に着座した2人の軟体動物と思しき「個体・C」が、ネバネバとした顔面に真っ白の「仮面」を貼り付けて、こちらを振返りながら合体して、お互いの「DNA」を交換し合ったのです。モニターテレビを見続けている、より高度な知的生命体と想われる「個体・H」は、ネットを通しての「映像」による外界からの情報に依存する傾向が強く、脳内にも潜むことになった病気や犯罪や戦争のイメージを反復して視ることにより、それらの「情報」が自らの血肉と化していくことに気付いていなかったのです。ここにも既に、「悪魔」の手は忍び寄っていたのです。4人目のメンバーである「個体・B」は、絶望の淵にあるかのように肩を落として、その上下の嘴の間から、プクプクと白い泡を吹き出しながら、最後の救済を信じて「般若心経」を唱えていたのです。最後のメンバーであり、「赤虎」の砲台に立って指揮を取っていた「個体・Z」は、コンピューターを前にして、ウェブ上での情報交換に取り憑かれているように見えました。「夢中」に入ることにより、自分自身を投げ出して、その先に存在する「他者」との交感に賭けようとしていたのです。そして突然、神経衰弱に病んでいるかのような「個体・H」の仮面を脱ぎ捨て、何らかの解決へのヒントを得たかのような明るい表情を魅せたのです。その笑顔には、野生の山猫の本来の逞しさがありました。悪意を囁く「悪魔」を追放することよりも、善意の連帯をもたらす「天使」の存在を信じ得る、何らかの交信に成功したに違いなかったのです。
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by artbears | 2008-03-28 19:59 | 社会


ソフトマシーン・やわらかいきかいのひとりごとです
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