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夢博士の独白



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空を蔽う黒い網目の樹木の枝、なぜにカササギの家は真赤に炎上することになったのか

黒い「骸骨」の手がいくつもいくつも重なりながら空間を埋め尽くしていくように、冬の樹木のたくさんの「枝木」が円形のドームのような形となって空を蔽っていたのです。黒い樹木の「木肌」からは、寒さに耐える樹々たちの硬く凝縮された「意志」のような力強さが読み取れるのでした。そうした枝々が交叉して出来る黒い網目のような「空間」のあちらこちらに、カササギたちはもっと弱々しくより細い枝を集めて、自分たちの「巣」を作っていたのです。それらの「巣」はちょうど、硬い枠組みの中に浮かぶ黒いふわふわした雲のように軟らかに視え、網目の間から視える冬の「空」の透き通った青さとの対比が、教会のステンドグラスの放つあの厳粛な雰囲気を醸し出していたのです。それらの巣の住民であるカササギの容姿はと言うと、胸から腹にかけての部分だけが白く、あとは真っ黒な、まるで僧衣をまとった修行僧のようであり、しかしどこか滑稽で憎めないところがあったのでした。そうしたカササギがいっせいに巣から飛び立つ「光景」は、白い勢いのあるストロークが縦横無尽に点描となって走り、空間をより重層的で流動的な躍動感のあるものに変質させていくのです。それは、あのポロックの絵画のように、オールオーバーでありながら決して平面的ではない、どこまでも底なしに深い、幻惑の宇宙のような「世界」が存在することを示唆しているかのようだったのです。この「空間」の超越的なリアリティーに恍惚となり、ある種のシンクロした「眩暈」を体験していた私たちの眼前に、「J・羅漢」と呼ばれる一羽のカササギが親しげな表情で現れたのは、それから暫く経ってのことでありました。彼の背丈は、私たちよりも少し低い、ちょうど100号のキャンパスに収まるサイズであったように記憶するのです。いたずらっぽい目をした「J・羅漢」は、時々ひょいと首を予期せぬ方向に傾けるのです。そして、ピョンピョンとおどけた動作を交えながら、時折後ろを振り返り、私たちをエスカレーターのある「場所」へと案内したのです。「J・羅漢」が信用の置けない人物には見えないことに、いつものように阿吽の呼吸で「同意」をしていた私たちは、彼の左右に揺れる長く黒い「尻尾」を見つめながら、彼の誘うままに、エスカレーターに四脚を同時に乗せることになったのです。一瞬の戸惑いの「時間」を、私たちは共有することになりました。なぜならば、エスカレーターは上昇のみの一方通行であり、この「世界」への帰還の道は閉ざされたものであることを覚悟しなければならなかったからなのです。エスカレーターの両側には、人類の残したさまざまな建築の「歴史」が展示されていました。そして、私たちが通過するたびに、それらの建物は自動的に発火していくのです。燃え上がる真っ赤な「炎」の熱を背中に感じながら、私たちは、それら焼失されつつある建物たちの貴重さを心に留め置くことに努めようとしたのです。しかし驚いたことに、エスカレーターは、私たちの立っている一歩後ろの部分から、ドロドロに溶けながら奈落の「底」へと崩れ落ちて行ったのです。そして、私たちが運ばれる次の「世界」、つまりエスカレーターの終着の「場所」に辿り着くやいなや、私たちを振り返った「J・羅漢」の顔には、もはやあのひょうきんな「表情」は消え失せたものとなり、現実をしっかりと認識した、自らの「欲望」を絶つことをも辞さない厳しさを宿したものへと変わっていたのです。そして、「J・羅漢」はエネルギーを充満させるかのように、腰をゆっくりと引き、振り戻す力を利用しながら大きく羽ばたき、一気に「天空」へと舞い上がったのです。黒い樹木の枝木で出来たドームは、この「世界」においても、外界(カオス)から内界(コスモス)を守る「構造」になっているようでした。しかし、網目の向こうには、メラメラとした赤い炎の姿が見え隠れしており、このセーフティーネットが灼熱の「炎」に包まれるのも時間の問題であることを報せていたのです。その中で、私たちが目撃したものは、次々に「炎」の餌食となり、真っ赤に燃える「家」となって落下して来るカササギたちの巣だったのです。その「光景」は終末を予告するかの惨状を呈していました。その時、「J・羅漢」は急降下して来たのです。そして、私たちに目配せしながら、右手に在る漆喰で塗り固められた分厚い壁に空いた「門」を通り抜けて行ったのです。その入口から視える「第三の世界」には、白黒を基調にしたモノトーンの静かな世界が拡がっているように想われたのです。そして、「安住の地は近い」という「J・羅漢」の声が耳の奥でこだましたのです。
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by artbears | 2008-02-28 19:20 | 夢白


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