夢博士の独白



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砂漠に立ち昇るきのこ雲と黒い河、ミサイルと戦車、紅い砂漠に残された木の葉の足跡

水蒸気のツブツブが「小さな風船」のようになって、上昇する気流に巻き込まれながら舞い上がっていくにつれて、蒸気機関車を覆っていた「深い霧」はしだいに晴れ上がっていったのです。それにつれて、黒く逞しい「鉄の塊」が誇らしげにその全貌を明らかにしていったのは、言うまでもないことでした。蒸気機関車は、あの灼熱の「紅い砂漠」の地を横断して、この厳寒の「白い草原」の地に到着したに違いなかったのです。ステップ台を降りる「足音」が、周囲の静けさに下された「鉄槌」のように響く中、プラットホームに降り立った「カーラ」は、黒い厚手の羅紗のロングコートに身を包んでいました。吐く息は瞬時にして凍り付き、その「言葉」は氷結して出来たミサイルや戦車となって、プラットホームに次々と並び、速成のミニチュアの「軍隊」は編成されたのです。そして「カーラ」は、もっともっと小さな「氷」で出来た兵器や兵士たちを前にして、低く威厳に満ちた声で、このように説いたのです。「我は死なり、汝らはただ義務を果たせよ」と。そして「カーラ」は兵士たちの士気を高めんがために、両の手を大きく孔雀の羽根のように拡げ、多くの腕とそれぞれの手に無数の武器を持った姿に「変身」したのです。その表情は、眉間に「苦悩」の深い皺が刻まれていましたが、「理想」を胸に抱いた少年のそれのように、遠くの地に必ずユートピアが存在することを強く信じた、「精神」の透き通った高貴さを感じさせずにはいられないものでした。その時、すでに「カーラ」のロングコートは脱ぎ捨てられていました。そして、その赤黒い乾漆で出来た「艶やかな肌」のいたるところからは、新緑のころの萌えるような「若葉の芽」が、見る見るうちに繁茂するという「光景」を観察することができたのです。「カーラ」の発した二つ目の言葉は、次のようなものでした。それは、「我は時なり、汝らは我に従い、あの忌々しき紅い大地を攻略せん」でした。兵士たちの間に動揺が走ったのは無理もないことでしたが、次第に平静さは取り戻されることとなり、彼らの心が、「紅い大地」の遥か彼方で起こっている非道な出来事に対する憤りの心情へと変化していることが読み取れたのです。確かに、粘着性のある液体が流れる「黒い河」を渡ったところから始まる「紅い砂漠」の上空には、未だに、白く立ち昇る「きのこ雲」の発生が後を絶たないことが見て取れたのです。「カーラ」の絶望の淵は深く暗いものでした。しかし、その絶望の谷こそが「カーラ」の出生の場所であったことは、兵士たちの間ではすでに知れ渡ったことでもあったのです。寒風が熱風と交互に入り乱れて吹き荒れるひと時が過ぎました。全身が濃い緑色の「木の葉」で覆い尽くされた姿となった「カーラ」は、数枚の木の葉を胸から掻きむしるようにして取り、それらを「黒い河」に浮かべるために、岸辺に「ドスン」と両手と両膝を落としたのです。そして、一枚一々と黒い河に放たれる木の葉の「舟」には、あの「氷」で出来た兵器や兵士たちが積み込まれていたのです。木の葉で出来た「船団」は、あるものは「黒い濁流」に飲み込まれるようにして、また、あるものは「紅い熱風」に煽られるようにして姿を消して行ったのです。そして、対岸に辿り着くことの出来た数少ない兵士たちの表情には、もはや絶望を希望に転化させるだけの「気力」と「体力」を期待することはできなかったのです。「黒い河」を一跨ぎで飛び越えられる大きさに巨大化した「カーラ」は、対岸の兵士たちと合流するやいなや、今度は、蹲まって元の姿の大きさに戻る苦しみの「試練」を受け入れることになりました。その際に、あの青々と茂った「木の葉」は、伸びきったゴムが破断点を越えて収縮に転じるときのように、「チリチリ」と音を発て、もがき苦しみながら、最後には茶褐色の粉々になった断片と化して、「熱風」に浚われるようにして何処かに運ばれて行ったのです。その時のことでした。「紅い砂漠」の大地の底から絞り出されて来るような「咆哮」とともに、前方の至近距離において、核爆発による巨大な「きのこ雲」が天に向かって立ち昇ったのです。そして、その巨大なキノコは、まさに「悪」の胞子を撒き散らす毒キノコとなって、その巨大な「傘」を拡げ始めたのです。核j汚染の尖兵である「黒い熱風」は間違いなく襲って来るのです。深い悲しみに溢れた「カーラ」の眼差しが、白い「きのこ雲」から後方の兵士たちに向けられたとき、そこに辛うじて残されていたものは、「カーラ」の足跡に寄り添うようにして生きながらえている、希望の篝火のような「木の葉」たちだけだったのです。
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by artbears | 2007-08-24 19:01 | 夢白


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