夢博士の独白



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宇宙船の内部なのか、そして重要な会議はそこで開かれるというのだろうか。

薄暗い講堂のような板間の部屋には、黒くオイルの染み込んだ線路の枕木のような分厚い板が敷き詰められており、そのところどころに空いた穴からは、雲の流れていく光景が垣間見ることができました。さらに雲間から覗く地上の世界には、色とりどりのオモチャのような屋根が観えるのでした。オイルの臭いはと言うと、あの逞しい蒸気機関車のエンジン周りから滴り落ちるオイルのように、どこか懐かしく、労働の後の休息のひと時のような満足感を漂わせているのです。その廊下の右側には、階段教室に備えられている木製の固定式の椅子と机が並び、それらは段々と下方に降りていくかたちで、古ぼけた緞帳の下がった舞台と想われる空間へと繋がっているのでした。舞台には演台が置かれ、その上には白い指揮棒が一本と何本かの黒い蜂の巣のようなマイクロフォンが設置されていました。廊下の真っすぐ前方には、木で縁取りされた金色の扉の枠があり、その枠内には、金色とのコントラストが美しい、輝くような水色の麗しい絵肌の絵画のような空が広がっているのでした。その水色の画面を切り裂くように、黒い切り絵のような人影が生まれ、次から次へと「参加者」の入場が始まったのです。その切り絵は、先端の鋭い黄色い嘴により破られ、やがて獰猛で非情な猛禽類のような目が現れ、そして宇宙服に身を固めた二足歩行の胴体が現れて来るという順番で、その姿が明らかになっていったのです。彼らは次々に座席について、会場はガヤガヤとしたざわめきに包まれた雰囲気に変わっていきました。私は彼らに遅れを取ることのないように座席を確保したのですが、周りの連中のあの鳥小屋の糞尿の混ざったような臭いには、どうしたら良いものかと想い悩み、思わずヘルメットにセットされているはずの酸素パイプに手を伸ばしたのです。ところが無いのです。その時、時を同じくして「ガクン」と歯車のギヤが入るような音がするとともに、階段教室は一段前方に傾いたのでした。そして、舞台の下の板の隙間からは、水が勢いよく噴き出して来るのです。だんだんと前方の座席から水中に水没するさまは、それはパニックを引き起こすに十分なほどの光景であったことを証言します。私はすぐに、この講堂の構造上の仕組みを解明することに全精力を傾けることに決めました。私の考察は次のようなものです。それは円筒状の宇宙船であり、その内部に中心軸があり、その軸を中心にして三角柱の回転する階段教室が三部屋あるというものです。そしてそれらの部屋には空の世界、水の世界、地の世界があるはずなのです。私の考察から導き出される結論は、私は空の世界から水の世界へと移行する階段教室に居るという事実なのです。いったい私は何の会議に参加する運命にあるのだと、天を仰ぎ見て嘆いても何の解決にもなりません。私は行動を起こすべきなのです。ところが、周りの連中の顔ときたら、鳥のような顔から魚のような顔へといつのまにか変化しており、その平静を装った表情からは、悪巧みすら窺い知ることが容易なのです。一方、空に通じる扉からは、次々と鷲のような表情をした連中が、意味不明の笑みを残しながら飛び去って行くのです、。私は階段教室の最上部まで駆け上がり、はたして意を決して水中に潜り、地の世界に通じる抜け道を探すのか、それとも羽根の無い我が身を省みず、空に通じる扉から決死のダイビングを試みるのかを思案したのです。しかし悲しいかな、私は水にどうしようもない恐怖心を覚える性癖の持ち主だったのです。
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by artbears | 2006-12-29 21:32 | 未白


ソフトマシーン・やわらかいきかいのひとりごとです
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