夢博士の独白



動物の進化と技術の進歩、静止する透明で永遠の時間、精神の暗闇の先の他者への信頼

 それが「蒸気」だったのか、それとも「電気」を動力源とした「機関車」だったのかは、今となってはどうでもよい「問題」でした。とにかく「技術」の進歩は凄まじくて、「車窓」から観えた「動物」は一瞬にして後方に飛んで行く。そのスピードは、「生物」の進化を遥かに凌駕していたのです。    
 私は一刻も速く、この「機関車」から降りなければならない。さもなければ、私の「肉体」も一瞬の「夢」の如く消えて逝く。最終的には「機械」に置き換わるのだろうか。その時、無機物も「夢」を見るのだろうか。何れにしても、私の「肉体」に残された「時間」は恐ろしく短い。
 プラットフォームが前方に迫って来ました。私は「精神」を集中して、そして祈る。私の「肉体」から解放されることを一心に願ったのです。私の「精神」は浮上して、そして落下する。その時、私の「意識」は覚醒する。プラットフォームに降り立った「私」は、不思議な「感覚」に襲われました。その「場所」には、様々な「物事」を魅き寄せて、結び付ける透明な「磁力」が満ちていたのです。
 「社会」の産業基盤の依って立つ「足場」に変化が起きていることは明らかでした。「社会」の動作環境が物理的な「基盤」から、産業横断的で電脳的な「空間」に移行しているのです。その「場所」が、無限の可能性への拡大を始めた。その「空間」が、物と物を繋げて、人と人との「心」を繋げて、夢幻の「宇宙」が生まれようとしている。
 その時、頬に心地良く当たる「微風」に、どこか秋の透明な「気配」を感じ取った「私」は、相変わらずの夏の残忍な「陽射」に辟易しながらも、遠方に神々しく聳え立つ「山脈」を望み見たのです。どっしりとした存在感を競い合うようにして連なる山々の「稜線」には、ゆっくりとしたスピードで雲々が這うようにして移動して行くのが観えました。その「白雲」の動きを「目」で追い掛けると、やがて、あの「天空」に在るとした、繁茂する木々に覆われた巨大な「浮遊体」が、私の「心」の中に浮かんで来たのです。
 あの時、機能停止となった巨大なロボットは、気が遠くなるような永遠の「時間」を野晒しとなって、しかし朽ちることなく「何事」かを待ち続けていたのです。一輪の可憐な「野草」を差し出す優しく穢れのない「心」はプログラムされたものではない。ロボットの両肩で戯れるキツネリスの「心」とも繋がっていることは、その仮想の「映像」がリアルに物語っていたのです。透明で永遠の「時間」が止まって見えたのです。
 再び、プラットフォームに降り立った「私」に戻る。すると、深い樹々の「息」が濃い「霧」となって、そのカーテンを開くようにして、一体のアンドロイドが現れたのです。彼女の美しい「表情」には、「精神」の暗闇が見えない。「感情」の起伏が感じられない。   
 そもそも「人間」の美しさとは何なのだろうか。有機物としての「肉体」に在るのだろうか。私の問い掛けは、私の「精神」が答えるしかない。そこには、何の「根拠」も無いが、相手に対する一方的な「信頼」が在る。ある種の宗教的とも呼べる「他者」に対する「感情」が在る。私は「一歩」を躊躇する。「私」は依然として崖っ淵に立っていたのです。
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by artbears | 2017-07-29 17:24 | 連白
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